2016 Fiscal Year Research-status Report
日本における抗PLA2R抗体関連膜性腎症の実態と病態機序の解明
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15K09257
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋山 真一 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20500010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膜性腎症 / PLA2R |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、特発性膜性腎症の中でもPhospholipase A2 receptor(PLA2R)が責任抗原となるタイプの“抗PLA2R抗体関連膜性腎症”を対象にして、我が国における本疾患の総合的解析研究に取り組んでいる。すなわち、目的①:抗PLA2R抗体測定系の高性能化と測定診断プロトコル最適化、目的②:日本人患者における抗PLA2R抗体関連膜性腎症の実態解明、目的③:培養ヒトポドサイトおよびポドサイト特異的ヒトPLA2R発現マウスを用いたin vitro・in vivo両面での病態機序解析ツールの構築を目的とし、最終的には抗PLA2R抗体関連膜性腎症の診断・病態理解・治療の進展に資するevidenceの集積を目指している。 研究開始2年目にあたる平成28年度は、研究開始1年目に構築が完了した抗PLA2R抗体の診断プロトコル(目的①)を用いて、目的②を進めた結果、日本人特発性膜性腎症患者の予後は、腎生検時のPLA2R抗体の有無と喫煙履歴によって影響を受けること、PLA2R抗体陽性で喫煙の履歴を有する患者は完全寛解までに有意に長い期間を要することを明らかにし、診断時のPLA2R抗体と喫煙履歴の確認が予後予測に有用であることを報告した。目的③では、培養ヒトポドサイトの培養および実験手技の確立、ならびに、抗PLA2R抗体を含む患者血清を投与した培養ヒトポドサイトに生育阻害が認められることを確認した。ポドサイト特異的ヒトPLA2R発現マウスを用いた膜性腎症モデル実験を進めるために、本マウスに投与する患者由来抗PLA2R IgGの収集と精製を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始1年目にPLA2R抗体を指標にした特発性膜性腎症の診断プロトコルが高いレベルで実現できたことから、研究開始2年目にあたる本年度においても患者の解析とデータ取得が極めて順調に実施できた。また、培養ヒトポドサイトを用いたin vitroでの病態解析においてもより安定的な培養手技を確立できたことで、実験を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
特発性膜性腎症の診断では、血中のPLA2R抗体を指標にする方法と腎組織のPLA2Rタンパク質の染色性を指標にする二つの方法が運用されており、日本人患者においてどちらの診断方法の方が精度が良いかなどについては殆ど検討されていないので、今後の研究では、PLA2R抗体またはPLA2Rを指標にした特発性膜性腎症の診断プロトコルの検証と標準化について検討する予定である。併せて、in vitroおよびin vivo両面での病態解析を引き続き進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が予想より順調に進み、抗体検出系の構築に係る実験消耗品の使用量が当初の予想よりも小さくなった為、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床検体を用いた調査研究および培養細胞や動物モデルを用いた検討における実験費として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)