2015 Fiscal Year Research-status Report
Sirt1とその液性因子NMNを介した尿細管・PEC連関の解明
Project/Area Number |
15K09272
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長谷川 一宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30424162)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PEC / Sirt1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の検討で、近位尿細管Sit1発現レベルが低下すると、続いて、糸球体Sirt1レベルが低下し、その結果tight junction蛋白の一種であるClaudin-1がpodocyteおよびボウマン嚢壁側上皮(parietal epithelial cell、PEC)にて上昇することが明らかとなった(上昇したClaudin-1はβ-catenin経路活性化によりPodocin, Synaptopodinなどスリット膜やβアクチン細胞骨格の構成蛋白発現低下を来し、podocyteの足突起癒合やバリア機能障害を引き起こし、アルブミン尿が出現する)。さらに近位尿細管特異的なSirt1過剰発現マウスでは、近位尿細管Sirt1の過剰発現のみならず、糸球体Sirt1の発現が保持され、Claudin-1の発現が抑制される事によって、アルブミン尿が抑制された。 したがって、糖尿病性腎症での近位尿細管Sirt1低下を発端とした、近位尿細管から発せられる何らかの因子(その後の解析でNMNを同定した)により糸球体Sirt1発現が減少する事が示唆され、これを近位尿細管から糸球体への連関、「尿細管‐糸球体連関」と我々は命名し、既知のtubuloglomerular feedback (TGF)とは別途のSirt1を介した新規のエネルギー代謝連関の存在を見出した。現在「尿細管-PEC連関」についても培養PEC、PEC特異的Sirt1遺伝子改変マウスを使用して、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PEC特異的なSirt1遺伝子改変マウスの作成が計画通り行なえており、解析に必要な匹数の確保に至っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザーマイクロダイセクション(LSM)検体を用い、methylation-specific PCR(MSP)法を行い、in vivoでのepigeneticな遺伝子調節についてマウスで結果を得ている。ヒトでも糖尿病性腎症において、Sirt1低下がDnmt1(DNAメチル化酵素1)の活性低下とClaudin-1遺伝子のCpG islandの脱メチル化を生じ、Claudin-1蛋白発現上昇が認められるかを今後証明し、ヒトにおける新規治療標的としての意義を、申請を認めて頂き、研究遂行する事で、確立したい。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Communication from Tubular Epithelial Cells to Podocytes through Sirt1 and Nicotinic Acid Metabolism2016
Author(s)
Kazuhiro Hasegawa, Shu Wakino, Yusuke Sakamaki, Hirokazu Muraoka, Hiroyuki Umino, Hitoshi Minakuchi, Ayumi Yoshifuji, Makiko Naitoh, Keisuke Shinozuka, Koji Futatsugi, Hidenori Urai, Takeshi Kanda, Hirobumi Tokuyama, Koichi Hayashi and Hiroshi Itoh.
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Journal Title
Current Hypertension Reviews
Volume: 12
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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