2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K09275
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80311976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 美樹 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302733)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腎臓学 / 足細胞 / 糸球体濾過 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下のような成果を得た。 1.非筋ミオシンIIA重鎖(Myh9)の点突然変異は腎障害を引き起こすことが知られているが、そのメカニズムは不明である。研究代表者らは非筋ミオシンIIAが腎糸球体足細胞においてビメンチン中間径フィラメントに結合すること、さらにR702C変異Myh9は中間径フィラメントとの結合能が低下していることを明らかにした。さらに、足細胞に発現する中間径フィラメント結合蛋白とミオシンIIAの関係を調べたところ、プレクチンがミオシンIIAとビメンチンの結合部位に局在しており、プレクチンsiRNA処理により、ミオシンIIAとビメンチンの結合が抑制されることが判明した。これらのことから、ミオシンIIAはプレクチンを介して、ビメンチンと結合していることが分かった。R702C変異が足細胞の形態にどのような変化を及ぼすかについて詳細にin vivo解析を行うため、国立医薬品食品衛生研究所との共同研究により4-hydroxytamoxifen (4-OHT)腹腔内投与(0.5mg/匹、3日連続投与)で足細胞特異的にR702C変異Myh9の発現誘導可能なノックインマウスの作製に成功した。形態学的解析から変異Myh9ノックインマウスでは足細胞足突起の消失と細胞底部におけるアクチン線維の集合が認められた。また、足細胞の尿腔側の細胞膜で、bleb形成が顕著であった。Myh9は細胞底部のアクチン線維束とbleb内に局在しており、これらの形態変化に変異Myh9が関わることが示唆された。この研究における一部の成果はH29年度日本腎臓学会にて報告予定である。 2.新たに作製したモノクローナルのうち、足細胞を特異的に認識するD24クローンの抗原を解析し、中間径フィラメント結合蛋白であるβーsynemin分子(150kd)を候補分子として同定した。この結果を日本解剖学会総会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究は概ね予定通りに進行している。本年度は足細胞の形態形成に関わる重要な分子のうち、非筋ミオシンIIA重鎖についてR702C点突然変異ミオシンを足細胞特異的に発現誘導できるノックインマクスの系を新たに作製することができたのは大きな進歩である。このノックインマクスは、生後正常に成長したマウスにおいて時期を選ばず変異分子を足細胞特異的に誘導できることから、変異分子の発現がどのように足細胞の形態に影響を及ぼすかを詳細に解析することが可能である。この系を用いて形態学的な解析を進めており、これまで知られていない変異分子の挙動を電子顕微鏡レベルで追跡することができた。その他、足細胞の突起形成に重要な中間径フィラメント結合蛋白としてβーシネミンを同定することができたことも大きな進歩である。この分子の生理学的な役割を明らかにしていく予定である。ミオシンIIAの足細胞における生理学的役割を明らかにし、ミオシン重鎖の点突然変異が足細胞に及ぼす影響について分子レベルで解析することは、ミオシン重鎖の変異で起こるEpstein症候群などの疾患の診断と治療に大いに役立つものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下のような研究を予定している。 1.非筋ミオシンIIA重鎖(Myh9)のR702C点突然変異が足細胞の形態に及ぼす影響について引き続き解析を続ける。R702C変異Myh9のノックインマウスの解析から、MYh9が足細胞の細胞質でどこに局在しているかを詳細に解析しており、ミトコンドリアへの結合が有意に増加していること、ノックインマウスの足細胞においてマイトファジー(ミトコンドリアのオードファジー)が認められることが、分かった。ミトコンドリアの分裂にミオシンIIAが関与していることが知られているが、ミトコンドリアのどのような分子とミオシンIIAが結合するかなどの情報はない。そこで、コントロールおよびR702C変異Myh9ノックインマウスにおいてMyh9が結合する分子の解析を進めることとする。in vivoにおける解析が困難な場合を想定して、これまで研究代表者が確立してきたラット培養足細胞にR702C点突然変異をCRISPR/Cas9を用いてノックインした細胞を作製して、詳細な解析を行うことを計画している。また、オードファジー関連分子(LC3やパーキン等)とMyh9との関係をin vivoおよび培養細胞において特異抗体を用いて解析を行う。 2.R702C変異Myh9のノックインマウスでは正常な足突起が消失し、細胞底部にアクチン線維束が形成される。足突起の消失は足細胞障害の重要な特徴であるが、そこにミオシンIIAがどのように関わるかは、これまで明らかにされていない。底部に形成されたアクチン線維束にMyh9の存在を確認しているが、それ以外にどのようなアクチン結合分子(足細胞特に足突起に存在するアクチン結合蛋白)が局在しているかを調べ、足細胞におけるアクチンの再構成について解析を行う。
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[Journal Article] Lipoarabinomannan binding to lactosylceramide in lipid rafts is essential for the phagocytosis of mycobacteria by human neutrophils.2016
Author(s)
Nakayama H, Kurihara H, Morita YS, Kinoshita T, Mauri L, Prinetti A, Sonnino S, Yokoyama N, Ogawa H, Takamori K, Iwabuchi K
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Journal Title
Sci Signal
Volume: 9
Pages: ra101
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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