2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09276
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊與田 雅之 昭和大学, 医学部, 准教授 (20384365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 泰平 昭和大学, 医学部, 助教 (10749948)
柴田 孝則 昭和大学, 医学部, 教授 (70221299)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウロモジュリン / ラット抗GBM抗体腎炎 / IL-6 / マクロファージ / TNF-α |
Outline of Annual Research Achievements |
(背景) 尿細管由来蛋白質であるウロモジュリン (UMOD) は様々な免疫賦活作用を有するが、腎炎での治療研究報告はない。今回、UMODのラット抗GBM抗体腎炎 (NTS-N) 抑制効果を検討し、その治療機序も解析した。(方法) 計36匹の雌WKYラットを使用し、予防効果はコントロール群 (CON) と治療群 (UMOD) に分けPBS、UMODを静注、直後にラビット抗ラットGBM抗血清を静注し (Day0)、Day4で検討した。治療効果はDay4に治療開始し、Day10で検討した。また治療開始3h後で極早期の変化を検討した。培養血管内皮細胞 (HUVEC)、メサンギウム細胞 (NHMC)、近位尿細管上皮細胞 (HK-2細胞)、単球 (THP-1) でUMODのサイトカイン産生能を検討した。(結果) 予防実験では、UMOD群で有意に 1)蛋白尿減少 2)血清Cr値低下 3) 壊死性半月体形成糸球体数減少 4)糸球体内ED1+、CD8+細胞数減少 5)血清MCP-1値低下を認めた。治療実験では、UMOD群で有意に 1)蛋白尿減少 2)半月体形成糸球体数減少 4) 糸球体内ED1+細胞数減少を認めた。また、3h後の検討ではUMOD群でIL-6が血中、糸球体内ともに著明に上昇し、糸球体内ED1+細胞の減少を認めた。培養HUVEC、NHMC、HK-2細胞、THP-1では、UMOD前処置で有意にIL-6産生が増加し、TNF-α刺激により相乗効果が得られた。(考察・結語) UMODはラットNTS-Nで劇的に蛋白尿、半月体形成、糸球体内マクロファージ浸潤を抑制した。治療群における血清IL-6は劇的に上昇しており、in vitroでの検証でも、UMODは各々の培養細胞でIL-6を増加させた。近年、NTS-NにおいてIL-6は糸球体内マクロファージの浸潤を抑制し、腎保護的に作用する事が報告されており、UMODによる一つの重要な治療機序としてIL-6による抗炎症効果考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画であるラット抗GBM抗体腎炎におけるUMODの治療効果とその機序についての検討は十分に遂行出来た。UMODはこの腎炎モデルにおいて治療効果を発揮し、機序に関しては全身性、腎局所における非常に強いIL-6の産生促進によるものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り平成28年度の研究計画である、シスプラチン腎症におけるUMODの治療効果とそのメカニズムについて検討し、その治療効果のメカニズムを尿細管上皮細胞 (HK-2細胞)を用いてin vitroで検討する。
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Research Products
(2 results)