2015 Fiscal Year Research-status Report
進行性腎障害に対する脱分化脂肪細胞(DFAT)を用いた細胞移植治療の開発
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15K09280
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸山 高史 日本大学, 医学部, 助教 (10459901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 昇 日本大学, 付置研究所, 教授 (40267050)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自家移植 / 細胞移植 / 脱分化脂肪細胞(DFAT) / 腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はDFATが免疫抑制作用を介して、免疫性腎炎モデル動物の病態を改善することを見出した(Maruyama T, et al. Systematic implantation of dedifferentiated fat cells ameliorated monoclonal antibody 1-22-3-induced glomerulonephritis by immunosuppression with increases in TNF-stimulated gene 6. Stem Cell Res Ther 2015; 6:80.#1)。その際に使用した腎炎モデルがラット特有の疾患であったためヒトの疾患に近いモデル動物に変更して、移植の効果・安全性を確認することが本研究の目的である。当初は予後不良の免疫性腎炎でヒト疾患にも存在するANCAについて、その疾患モデルであるSCG/Kjマウスに対してDFATの細胞移植を行う予定であった。しかし当研究費採択の決定後速やかに分譲依頼を2015年6月に行ったが、分譲されたのが2016年4月に遅延してしまった。理由は次項目の通りだが、その間以下の代替実験を行った。先に述べた我々の報告#1は他家移植、つまり別の個体で作製したDFATを移植細胞源として使用している。細胞移植は他家移植こそ効果があるという説もあり、それが真実ならば将来臨床応用を目指す際に他家移植による拒絶反応や感染症など安全性の面に不安が残るため、自家移植でも同様に効果が得られるのかを検証する必要性があった。そこで我々の報告#1と同様の対象動物、方法で自家移植による検証を行った。結果は他家移植と同等の効果が観られ血液や組織でのTSG-6の上昇や発現も確認された。DFATの腎疾患への細胞移植はより安全性の高い自家移植でも同様の機序で効果が期待出来ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前項にも述べたが、目的疾患モデル動物の分譲の遅延が挙げられる。遅延の理由として当疾患モデルマウスは依頼されてから交配を始める点、繁殖が難しい点、繁殖後も死亡する個体も多く維持も困難である点、そのような中、他の研究施設からも依頼が多々重なっている点などが挙げられ、結果として目的動物モデルを入手するまでに依頼してから1年近く歳月を費やすことになってしまった。ただし平成28年4月4日にモデル動物を入手出来たので実験はそれ以降無事に開始しており、今後進捗状況は改善すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中にANCA関連血管炎モデルマウスSCG/KjへのDFAT細胞移植の効果および効果がある場合にはその機序を考察する。このマウスに対して移植の効果があるということになればヒトの腎疾患に対してもDFATの細胞移植が治療法になり得るということを示唆する。臨床応用して腎不全の新しい治療法を確立することが最大の目的であるため、その場合は効果と安全性を以下の内容で検証していく。 DFATの腎炎に対する抑制効果についてMEDINETと細胞治療の共同研究を行い、再度その効果と機序について検証する。MEDINETと免疫性腎炎に対するDFAT細胞移植の臨床試験についてJST A-STEP FSに申請する。MEDINETと免疫性腎炎に対するDFAT細胞移植についてヒト幹細胞移植ガイドラインへの申請書を作成。厚労省PMDAに申請する。更にはDFATと近似した性質を持つとされる脂肪由来の間葉系幹細胞(ASC)が分泌するTSG-6が直接的、間接的にT細胞上に存在して、接着因子であるCD44を抑制してT細胞活性化や細胞浸潤を抑制することで免疫調整作用を発揮するという報告がある。CD44は改善すると糖尿病の治療につながるとも言われている。今回のDFATの慢性腎障害治療が慢性腎炎のみの適応だけでなく透析療法が必要な末期腎不全の原疾患で第一位の糖尿病性腎症にも当細胞治療の効果を期待でき、糖尿病性腎症モデルのOLETFラットを使用して糖尿病性腎症にも効果があるか検討していく。
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Causes of Carryover |
目的モデルマウスが依頼されてから交配を始める点、繁殖が難しい点、繁殖後も死亡する個体も多く維持も困難である点、他の研究施設からも依頼が多々重なっている点などから分譲までに依頼後約1年を要して、初年度には予定通り研究費を使用することが出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在モデル動物は分譲されており研究を予定通りの内容で開始出来ている。まずANCA関連腎炎を、さらには時間の許す限り糖尿病性腎症・腎硬化症のモデル動物に対するDFAT細胞移植の効果や安全性、作用機序を検証していく予定のため、適宜研究費を使用して研究を遂行する。
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Research Products
(3 results)