2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09299
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森本 哲司 日本大学, 医学部, 助教 (10344657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根東 義明 日本大学, 医学部, 教授 (00221250)
石毛 美夏 日本大学, 医学部, 助教 (90420950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微小単離尿細管灌流法 / siRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、用手的に単離した細いヘンレの上行脚(ATL)にリポフェクション法を用いたsiRNA導入の確立を研究目標としていた。しかし、灌流液組成などを検討しながら研究を遂行したが、短時間灌流実験時と同じような生きの良い尿細管を一晩のインキュベーション後に得ることが出来なかった。また、ホールディングピペット近傍の尿細管細胞の見ばえが芳しくなく、この状態では経上皮電位の測定が行えない可能性が危惧された。そこで、siRNA導入実験と並行して顕微蛍光法の技術再習得やシステムの確認を行った。研究計画にも記載したが、siRNA導入後の尿細管の中で幾つかの細胞がダメージを受ける可能性があるが、本法では状態の良い細胞を選んで実験を行えば、尿細管の機能解析が可能である。そこで、今年度は試みにカルセイン(細胞容積を検討する際に用いられる蛍光指示薬)を用いて集合尿細管の灌流実験を行い、ここ数年間使用していなかった顕微蛍光システムが従来通り問題なく稼働することなどを確認した。さらに、実験に使用するカルセインの濃度や測定方法を詳細に検討することで、集合尿細管における水透過性の評価がほぼできる状態にまで、実験条件を詰めることができた。現時点では、siRNAを尿細管細胞に導入するという第一段階でつまづいているが、次年度はsiRNAを導入する際の試薬の変更や一晩のインキュベーション時に使用する灌流溶液組成に更なる工夫を凝らして、研究を推し進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
管腔構造を保持した尿細管細胞にsiRNAを導入することが、今年度の最も重要な課題だった。siRNA導入時の溶液はDMEM+10%牛血清を基本としたが、一晩のインキュベーション後に尿細管細胞の状態(顕微鏡下における尿細管細胞の見ばえ)が悪くなってしまう状態が続いている。そのため、自己評価は「(4)遅れている。」とした。次年度は、siRNAを導入する際の溶液や試薬の見直しをさらに推し進め、この状況を打開できるように邁進する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、siRNAを尿細管細胞に導入する際にT社の試薬を用いた。しかし、リポフェクチン法の試薬は各社から出ており、次年度は状況によっては他社の試薬に変更して、研究を遂行することを考えている。また、最も得意な尿細管分節である細いヘンレの上行脚を用いた実験を行ってきたが、顕微蛍光実験に用いた集合尿細管や過去に用いた経験のある太いヘンレの上行脚などの異なる分節に変更して、siRNAの導入法を確立することも視野に入れている。いずれの分節であっても導入に成功した際には、研究計画に則りノックダウン効率や機能解析を推し進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が芳しくなかったため、学会発表などの旅費は予想よりも使用することがなかった。また、siRNAを導入するステップで研究が滞ってしまい、次のステップであるリアルタイムPCR法を用いたsiRNAによるノックダウン効率を検証する実験を行えず、これらの実験に使用する予定だった試薬を購入する必要がなかったこともあり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
尿細管灌流実験のため、実験動物代(マウス)と溶液を作成する際に必要な試薬代に研究費を充てる必要がある。また、われわれの研究に関連した最新の情報を得るために学会に参加したいため、その旅費などに使用する予定がある。さらに、研究代表者である森本は平成28年4月1日付で、東北医科薬科大学に異動した。これに伴い、研究環境を再整備する必要が生じたため、研究機器の移転などで発生する諸費用が必要になると予想される。
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