2017 Fiscal Year Research-status Report
αシヌクレイン凝集体形成とリソファジーを標的とする病態伝播と神経細胞死の回避
Project/Area Number |
15K09321
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
辻村 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50236890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 義久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363990)
田口 勝敏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60462701)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / αシヌクレイン / レビー小体 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)の病理学的特徴の一つであるレビー小体(LB)は、αシヌクレイン(αSyn)を主な成分とした神経細胞内凝集体であり、PDの病態の進行と共に脳内での分布領域が拡大することからαSynの凝集が発症に大きく関与していることは確かである。凝集形成能の本質や細胞間伝播を担う分子種は未だ特定されていないが、αSynのオリゴマーが細胞毒性を示すとの結果が示されている。LBの細胞内形成は細胞内毒性の隔離のための構造体である可能性もあり、細胞内凝集物のクリアランスは、細胞毒性の再出現を引き起こすことが予想される。我々は、オートファジー欠損細胞株を作成し凝集体形成能と細胞毒性を調べたところ、オートファジー欠損によって細胞内αSyn凝集体は増加するにもかかわらず、細胞毒性は増加しないことを確認され、細胞内の凝集体クリアランス系が細胞毒性の出現や、αSyn再凝集の凝集核供給の場となっていることが確認された。また、PDでは中脳黒質のドーパミン(DA)産生細胞が優先して障害を受けるが、我々が使用しているアッセイ様細胞においてDA前駆体のL-DOPAの添加とDA変換酵素AADCの強制発現により細胞毒性の上昇、細胞内凝集体の増加がみられた。細胞内凝集のクリアランス増強、L-DOPA投与によるDA実行濃度上昇などPD治療として行われる可能性がある処置が逆に神経細胞死を引き起こしている可能性があり、PDの進行阻止や根本治療には、細胞内凝集形成の再活性化機構や、凝集形成活性を担う分子種の特定と阻害方法の確立が急務だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞内凝集体を観察するαSyn-EGFPを発現する培養細胞をストックする超低温冷凍庫の故障により、細胞株の再調整、以前の実験結果の再現に時間がかかり実験が停滞した。またPVDF膜上でのαSyn凝集核活性を検出する感度が低いため、ビオチン標識以外のラベル方法の検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
PVDF膜上で凝集活性を持つ分子種をより高感度に検出するため、プローブトしてビオチン化αSyn以外にもHiBitタグを導入し微量分子種の検索を行う。現在使用している培養細胞株ではαSyn細胞内凝集がドーパミン(DA)産生細胞の脱落を検証することができないため、L-DOPAをDAに変換するAADC酵素を発現する細胞株を作成し、DA産生神経細胞に対するαSyn凝集体の毒性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度予定していた設備備品を使用しないプロトコルに変更したためその余剰分が繰越となっている。それに加え実験材料である培養細胞株の再構築に時間がかかり研究の進行が遅延しているため次年度使用額が生じた。 現在細胞株が準備でき、実験が再開できているので、前年度で予定していた実験を完了するために必要な試薬を購するので、次年度使用額は全額使用予定である。
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Research Products
(5 results)