2015 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の神経障害性α-シヌクレインオリゴマーの同定と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
15K09322
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
徳田 隆彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80242692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建部 陽嗣 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00637027)
渡邊 義久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363990)
笠井 高士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70516062)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | α-シヌクレイン / パーキンソン病 / シヌクレインオリゴマー / 分子篩クロマトグラフィー / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)の病態の進展(脳内伝播)においては、細胞外に分泌されたα-シヌクレイン(A-syn)のオリゴマーがその分子基盤となると考えられている。これまでに、培養細胞系や動物モデルで合成A-syn分子を重合させた分子の細胞間伝播が確認されているが、実際にヒトの血液・髄液でA-synオリゴマーがどのような分子形態で存在するかは明らかになっていない。 我々は平成27年度は、当初の計画通り、まずはPDではない対照患者(頭蓋内圧亢進症、正常圧水頭症)の血漿および髄液をゲルろ過クロマトグラフィーで分画して、どの画分にA-syn分子が存在するかを、Western blottingおよび我々が自己開発したA-syn特異的ELISAで検討した。血漿においては、A-synは主として〜60kDaと〜2000kDaに相当する画分に回収されたが、その間の画分にも少量存在した。これらについては、〜2000kDaの画分はLDL画分にほぼ相当し、従来想定されていたエクソソームが存在する画分よりも分子量の小さい画分であった。また、これまでの報告から、A-synモノマーは分子篩クロマトグラフィーでは〜60kDaに溶出することが報告されているので、〜60kDa画分に存在するA-synはそのモノマーであると考えられた。対照患者の髄液を同様に分画した実験では、A-synの収量が少なくその同定に難渋したが、startingの髄液を5倍濃縮することにより〜60kDaでのA-synの存在は確認できたが、高分子画分におけるA-synの存在は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定されている血漿および髄液中A-synの分子量およびその蛋白化学的性質の同定に関しては、血漿中A-synについては予定通り進行しているが、髄液中A-synについてはその存在量が少ないことが問題となって、A-synモノマーは同定できたが高分子A-synについてはまだ十分な解析が行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血漿中の高分子A-syn(〜2000kDa)においては、それが単独で存在するのかあるいは他の分子、例えば脂質分子、などと複合体を形成しているのかを明らかにするために、脱脂の分画に対する影響、該当画分における脂質分子の解析および各種アポリポ蛋白による免疫沈降によってα-synを共沈可能かどうかなどを検討する。髄液中A-synについては、血漿中の高分子A-synの分子組成が明らかになった時点で、それらの分子に対する特異抗体を用いた検出などを行い検出の高感度化を検討する。また、ゲルろ過クロマトでは検出されなかったが、国内外からはエクソソーム中のA-syn分子の重要性が指摘されているので、PD患者の血漿及び髄液からエクソソームを分離して、そこにA-synのモノマーあるいはオリゴマー存在するか否か、また存在するならばPD患者では対照者と比較してどのような質的・量的変化をしているかを検討する。
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Causes of Carryover |
ゲルろ過クロマトグラフィーで分取した画分中のA-synのモノマーあるいはオリゴマーの濃度は極めて微量であり、同定・定量が困難であった。従来我々が開発していたELISA法はこれまでの方法よりは高感度ではあったが、上記の画分中のA-synモノマー/オリゴマーの定量には感度が十分ではなく、比較的収量が多い画分でしか定量ができなかった。その状況で文献を検索している中、ELISA法と比べて数百倍感度の高い解析装置(Simoa)が存在すること、および、日本でもH27.4月から販売が開始されたことが明らかになった。この高感度測定系であるSimoaの導入を考え、研究計画の変更が必要となったが、その調整に予想外の日数を要したため、年度内の完了が困難となった。このような状況のため、徳田・建部・笠井の使用予定額の一部を自年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に上記のSimoa装置の導入を完了し、現在は新規の測定系を構築・検証中である。H28年度中にSimoa装置を用いた新規のA-synモノマー/オリゴマーの定量系が完成すれば、ゲルろ過クロマトグラフィーで分取した画分中の-synモノマー/オリゴマーを、より高感度で検出・定量が可能になると考えられる。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Oligomeric and phosphorylated alpha-synuclein as potential CSF biomarkers for Parkinson's disease2016
Author(s)
Majbour NK, Vaikath NN, van Dijk KD, Ardah MT, Varghese S, Vesterager LB, Montezinho LP, Poole S, Safieh-Garabedian B, Tokuda T, Teunissen CE, Berendse HW, van de Berg WD, El-Agnaf OM
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Journal Title
Mol Neurodegener
Volume: 11
Pages: 7
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Diagnostic accuracy of 123I-meta-iodobenzylguanidine myocardial scintigraphy in dementia with lewy bodies: a multicenter study2015
Author(s)
Yoshita M, Arai H, Arai H, Arai T, Asada T, Fujishiro H, Hanyu H, Iizuka O, Iseki E, Kashihara K, Kosaka K, Maruno H, Mizukami K, Mizuno Y, Mori E, Nakajima K, Nakamura H, Nakano S, Nakashima K, Nishio Y, Orimo S, Samuraki M, Takahashi A, Taki J, Tokuda T, et al
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 10
Pages: e0120540
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Ventricular temperatures in idiopathic normal pressure hydrocephalus (iNPH) using DWI-based MR thermometry2015
Author(s)
Kuriyama N, Yamada K, Sakai K, Tokuda T, Akazawa K, Tomii Y, Tamura A, Kondo M, Watanabe I, Ozaki E, Matsui D, Nakagawa M, Mizuno T, Watanabe Y
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Journal Title
Magn Reson Med Sci
Volume: 14
Pages: 305-312
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Knockdown of the drosophila FIG4 induces deficient locomotive behavior, shortening of motor neuron, axonal targeting aberration, reduction of life span and defects in eye development2015
Author(s)
Kyotani A, Azuma Y, Yamamoto I, Yoshida H, Mizuta I, Mizuno T, Nakagawa M, Tokuda T, Yamaguchi M
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Journal Title
Exp Neurol
Volume: 277
Pages: 86-95
DOI
Peer Reviewed
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