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2015 Fiscal Year Research-status Report

STIM1シグナルを介したCa2+ホメオスタシスの制御による筋ジストロフィー治療

Research Project

Project/Area Number 15K09328
Research InstitutionTeikyo University

Principal Investigator

清水 輝夫  帝京大学, 医療技術学部, 教授 (00107666)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 真先 敏弘  帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (00585028)
萩原 宏毅  帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80276732)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords筋ジストロフィー / カルシウムホメオスタシス / 細管集合体ミオパチー / STIM1 / ORAI1
Outline of Annual Research Achievements

細胞内外のカルシウムホメオスタシスの破綻が筋ジストロフィーの病態と深く関わっているとの報告は以前から多くなされている。最近これに関連して、筋細胞のカルシウム動態を制御する主要な分子としてSTIM1-ORAI1シグナルが注目されている。STIM1は筋小胞体に存在するカルシウムセンサーとして機能しており、カルシウム濃度が低下するとそれを筋細胞膜上のORAI1に伝達、その結果ORAI1はチャネルを形成しカルシウムが細胞内に流入するというものである。本研究ではジストロフィン糖蛋白複合体の異常による筋細胞膜の不安定化とSTIM1-ORAI1シグナルの機能連関を検討するとともに、カルシウムホメオスタシスの制御に基づく筋ジストロフィーに対する新規治療法の開発を目指すものである。
本年度は我々が見いだした細管集合体ミオパチー(tubular aggregate myopathy; TAM)家系における新規遺伝子変異の機能解析を行った。既報告のTAMにおけるSTIM1変異はいずれもSTIM1の管腔内ドメインに生じている。しかし我々の経験した症例の変異は細胞質内ドメインに存在するものであった。そこでこの変異STIM1をC2C12筋芽細胞に遺伝子導入したところ、野生型は細胞質内にびまん性に局在するのに対し、変異型は核周囲にaggregate様の分布を示した。さらにFura2を用いた細胞内のカルシウムの測定を行ったところ、細胞質内ドメイン変異STIM1を遺伝子導入した細胞では野生型と比較して細胞内のカルシウム濃度が著明に低下していた。これは管腔内ドメイン変異STIM1では野生型よりも細胞内カルシウム濃度が増加するとの既報告とは対照的な結果であった。これらの事から、この新規STIM1変異はこれまで考えられていたORAI1の恒常的な活性化とは異なった機序によりTAMを惹起している可能性が考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は細胞質内ドメインに存在する新規STIM1変異の機能解析を行い、細胞内カルシウム濃度測定の結果ORAI1チャネルの恒常的な活性化というこれまで考えられてきた機能異常とは異なる異常を見いだした点は大きな成果であると考えられる。しかし本年度はさらに疾患iPS細胞の作製なども予定していたがそこまでは実施することができなかった。これらのことを勘案しやや遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本研究は次の2点に主眼をおいて推進していく。
1)細胞質内ドメイン新規STIM1変異を有するTAMの病態解明
前述したように我々はTAM家系において、これまで報告された管腔内ドメイン変異とは異なる細胞質内のSTIM1変異を見いだした。そしてこの病態はそれまで考えられてきたORAI1チャネルの恒常的活性化とは全く異なる機序によることを報告した(Okuma H. et al. Neurol Genetic 2015 )。今後さらにこの分子病態を解明するために、①STIM1とORAI1の局在や機能連関に関して培養細胞を用いて解析する、②変異STIM1の遺伝子導入時に細胞内に出現するaggregate様の構造体の電子顕微鏡による観察を行う、③患者由来の疾患特異的iPS細胞を作製治療法の検討などその後の研究に備える、などを行う。
2)筋ジストロフィーにおけるSTIM1-ORAI1シグナルの関与
より広汎に筋ジストロフィーの病態においてSTIM1の機能異常が関与していないか、もししているとすればこれを分子標的とした治療が可能かどうかを検討する。このために、①培養細胞のジストロフィンやfukutin など代表的な筋ジストロフィーの遺伝子をCRISPR/Cas9により破壊してSTIM1 シグナルとカルシウム動態の解析を行うとともに、②これらにおいてSTIM1 シグナルを介したカルシウムの過剰流入が明らかとなった場合STIM1 シグナルの阻害薬や阻害抗体などによりこの過剰流入の正常化が可能かどうかを検討する。

Causes of Carryover

Transfection試薬を購入する予定だったが、予算が不足し、購入できなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度の予算と合わせてTransfection試薬を購入する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Tubular aggregate myopathy caused by a novel mutation in the cytoplasmic domain of STIM12016

    • Author(s)
      Oakum H, Saito F, Jun Mitsui J, Hara Y, Hatanaka Y, Ikeda M, Shimizu T, Matsumura K, Shimizu J, Tsui S, Sonoo M.
    • Journal Title

      Neurol Genet

      Volume: 2:e50 Pages: -

    • DOI

      10.1212/ NXG.0000000000000050

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] α-dystroglycan N末端ドメインの過剰発現がマウス骨格筋に及ぼす影響に関する検討2015

    • Author(s)
      斉藤史明、大熊秀彦、池田美樹、萩原宏毅、真先敏弘、清水輝夫、松村喜一郎、園生雅弘.
    • Organizer
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会合同大会)
    • Place of Presentation
      神戸ポートアイランド(兵庫県神戸市)
    • Year and Date
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [Presentation] Tubular aggregate myopathyにおける新規STIM1変異と筋芽細胞に及ぼす影響2015

    • Author(s)
      大熊秀彦、三井純、大森亜希、肥田あゆみ、畑中裕己、松村喜一郎、清水潤、 辻省次、園生雅弘、斉藤史明.
    • Organizer
      第56回日本神経学会学術大会
    • Place of Presentation
      新潟コンベンションセンター(新潟県新潟市)
    • Year and Date
      2015-05-20 – 2015-05-23
  • [Presentation] Analysis of the functional role of α-dystroglycan N-terminal domain in vivo2015

    • Author(s)
      斉藤史明、大熊秀彦、萩原宏毅、真先敏弘、池田美樹、清水輝夫、園生雅 弘、松村喜一郎.
    • Organizer
      第56回日本神経学会学術大会
    • Place of Presentation
      新潟コンベンションセンター(新潟県新潟市)
    • Year and Date
      2015-05-20 – 2015-05-23

URL: 

Published: 2017-01-06  

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