2016 Fiscal Year Research-status Report
視神経脊髄炎(NMO)の新規酢酸PETの利用と層別化解析による個別化医療の確立
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15K09339
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中辻 裕司 富山大学, 附属病院, 教授 (20332744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 龍禎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00464248)
甲田 亨 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70626134) [Withdrawn]
南波 明子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80774504)
山下 和哉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40774518)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / NMOSD / PET / アストロサイト / 高次脳機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(MS)は中枢神経系(CNS)にオリゴデンドロサイト障害である脱髄をきたす疾患である。一方、MS との異同が議論されていた視神経脊髄炎(neuromyelitis optica spectrum disorder, NMOSD)はアストロサイトが一次的に障害される疾患であることが明らかとなった。MSとNMOSDは臨床像は類似しているが治療方針が異なるため鑑別診断が極めて重要である。しかし、特に抗AQP4抗体陰性例などの非典型的NMOSDでは従来のMRI画像のみでは、しばしば診断・治療選択に難渋する。 これまで我々はCNSではアストロサイト特異的に代謝される酢酸に着目し、トレーサー(11C-酢酸)を利用し、positron emission tomography (PET)にてMSおよびNMO患者におけるアストロサイトの機能障害を生体内にて画像化する臨床研究を遂行してきた。その結果MS脳ではアストロサイトの代謝活性が亢進していることを画像的に初めて明らかにした(Takata et al. PLoS ONE 2014)。またこの研究から11C-酢酸PETの取り込みと認知機能障害に相関があることが示唆された。MSの新規疾患修飾薬(DMD)が複数使用可能となり、運動障害からみた予後は各段に改善したが、認知機能障害が患者QOLの観点から重要になってきている。 今後MS、NMOSD患者、および健常者の登録数を重ねて、以下の3つの検査、1)MS/NMOの高次脳機能評価法として定着しているBRBN( Brief Repeatable battery of neuropsychological test)、2)頭部MRI、3)11C-酢酸PETを施行し、疾患鑑別と認知機能障害の評価に役立つ画像バイオマーカーとしての確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中枢神経系でアストロサイト特異的に代謝される酢酸を利用 し、11C-酢酸 PET の臨床研究を行い MS脳ではアストロサイト の代謝活性が亢進していることを画像的に初めて明らかにしていた。これまでの MRI および EDSS の評価に加えてRepeatable Battery of Neuropsychological Test(BRBN)を用いた高次脳機能評価を行い、11C-酢酸-PET についても kineticなparameterも評価する新たなプロトコールで撮影・解 析を行ってきた。 2017年 3月末時点で健常者 10名、多発性硬化症患者 11名、NMOSD 患者6名の登録および検査を遂行できた。先行研究と同様多発性硬化症ではアストロサイト代謝の亢進が観察された。また特筆すべきこととして、NMOSDの半数でアストロサイト代謝の低下が認められた。MSとNMOの病態を反映した興味深い結果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者、MS患者はほぼ目標症例数に到達した。今後はNMOSD患者の登録を進め、酢酸PET/MRI検査及び高次脳機能検査を施行し、病態の評価、鑑別診断、高次脳機能評価の観点から解析を進めてゆく。特にアストロサイト代謝の低下しているNMOSD症例については、高次脳機能テストのとの相関や、AQP4抗体値との相関に焦点を当てて解析していく。また最終年度にあたり本酢酸PET/MRIの有用性の検証も行う予定である。MSとNMOはアストロサイト代謝という観点からは全く異なるということが示唆されており、両者の鑑別に役立つ可能性が高い。
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Causes of Carryover |
研究主題の酢酸PETの臨床研究は予定通り、研究代表者の前所属機関大阪大学で進んでいたが、検査に係る諸費用が遅れて核医学教室から請求されること。また代表者中辻の富山大学への異動もあり、翌年度に繰り越した形となっています。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大阪大学で遂行しているPET検査に係る諸費用、および代表者と分担者のミーティングや学会で情報取集するための出張旅費に使用予定です。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Polarization of M2 macrophages requires Lamtor1 that integrates cytokine and amino-acid signals.2016
Author(s)
Kimura T, Nada S, Takegahara N, Okuno T, Nojima S, Kang S, Ito D, Morimoto K, Hosokawa T, Hayama Y, Mitsui Y, Sakurai N, Sarashina-Kida H, Nishide M, Maeda Y, Takamatsu H, Okuzaki D, Yamada M, Okada M, Kumanogoh A.
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 7
Pages: 13130
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] LRRK1 is critical in the regulation of B-cell responses and CARMA1-dependent NF-κB activation.2016
Author(s)
;Morimoto K, Baba Y, Shinohara H, Kang S, Nojima S, Kimura T, Ito D, Yoshida Y, Maeda Y, Sarashina-Kida H, Nishide M, Hosokawa T, Kato Y, Hayama Y, Kinehara Y, Okuno T, Takamatsu H, Hirano T, Shima Y, Narazaki M, Kurosaki T, Toyofuku T, Kumanogoh A.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 11
Pages: 25738
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Sema4A as a biomarker for the selection of treatment of MS2016
Author(s)
uji Nakatsuji, Toru Koda, Tatsusada Okuno, Yusei Miyazaki, Masaaki Niino, Toshiyuki Fukazawa, Kazushiro Takata, Akiko Namba, Kazuya Yamashita, Mikito Shimizu, Makoto Kinoshita, Saburo Sakoda, Atsushi Kumanogoh, Hideki Mochizuki
Organizer
Congress of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis
Place of Presentation
London, England
Year and Date
2016-09-14
Int'l Joint Research
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