2016 Fiscal Year Research-status Report
脳コネクトーム可視化によるアルツハイマー病での分子病理進展機序の解明
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15K09353
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 謙一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (00596687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 平 九州大学, 医学研究院, 助教 (30631585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は脳機能的ネットワークにおける神経過活動が、変異型βアミロイドやミクログリアの活性化による炎症惹起などのアルツハイマー病(AD)での分子病理学的変化を促進し、かつ変異型タウ蛋白がネットワーク間の機能的結合に沿って進展していくのではないかという仮説のもとに安静時fMRIとMEG撮像によるマクロの脳コネクトーム変化と、アミロイド・ミクログリアPETによるミクロの病理学的異常を可視化することを目的としている。今年度はADでの脳機能的ネットワーク変化と、ADでの認知機能障害との関連性を検討した。ADでは時間見当識障害が生じるが、これまでのその神経学的基盤は明らかではなかった。本研究では時間見当識障害の重症度に従って後部帯状回と右半球の注意ネットワークとの機能的結合が減弱することを明らかにした。特に時間見当識不良のAD群では、後部帯状回と右中側頭回との有意な結合障害を示し、時間見当識障害の神経基盤であることが示唆された。今後PET撮像を実施して、この機能的ネットワーク障害を引き起こすβアミロイドの分布を検索していく。また抗認知症薬にて時間見当識が改善した症例において機能的MRI撮像を再検し、後部帯状回と右中側頭回との機能的結合の変化を観察する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究にてADでの認知機能障害には、複数の安静時機能的ネットワーク障害が関与していることが判明した。今後複数の認知機能障害に関与するネットワークの同定を進めるとともに、核医学による分子病理学的変化の検討を実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後時間見当識だけでなく、ADでのその他の認知機能障害に関与するネットワークの同定を進めるとともに、核医学による分子病理学的変化の検討を実施する。また抗認知症薬によるこれらの機能的ネットワークの変化を観察し、AD治療の定量的バイオマーカーとして利用することも検討する。
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Causes of Carryover |
平成28年度はAD患者での機能的MRI撮像を実施し、その解析を実施するためのPCや解析ソフト購入を行ったため物品費での支出が多くなった。健常症例での機能的MR撮像を実施することができなかったため人件費の支出が少なくなりそのため次年度使用額が発生している。I
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、健常症例の能的MR撮像にかかる人件費と、成果発表のための学会参加にかかる旅費での使用を計画している。
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Research Products
(2 results)