2017 Fiscal Year Research-status Report
認知機能障害が脳卒中再発に与える影響およびその早期対策法についての研究
Project/Area Number |
15K09354
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑城 貴弘 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70568964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吾郷 哲朗 九州大学, 大学病院, 講師 (30514202)
脇坂 義信 九州大学, 大学病院, 助教 (50631694)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 認知症 / 脳梗塞 / 脳梗塞再発 / MMSE |
Outline of Annual Research Achievements |
<FSRデータ> 1.FSRデータは,平成29年度には,約1,000症例のさらなる蓄積があった.2.脳梗塞症例について,発症時の臨床情報(既往歴,現病歴,他),臨床病型,臨床背景(合併症,脳血管危険因子)を調査,検討した.3.入院時には,登録全症例について,詳細な採血データを取得した.4.入院後の検査・画像所見(MR,血管撮影,超音波),治療法(急性期血栓溶解療法,急性期血行再建術),臨床経過,合併症,等の詳細な情報を登録した.5.退院時には,詳細な神経症候,高次脳機能,認知機能(MMSE),および二次予防目的に投与された内服薬の有無,種類を調査,登録した.6.専任のCRC(Clinical Research Coordinator)により,退院後は,3ヶ月,6ヶ月,1年,2年,3年後に,詳細な機能評価(modified Rankin Scale;mRS,他)を行った.さらに,脳卒中再発(脳梗塞,一過性脳虚血発作,脳出血)の有無についても詳細な調査を行った. <データ解析> 1.予後調査が施行された登録症例を抽出し,個々の症例について検討を行い,目的集団での解析を行った.2.機能予後(mRS)により,群分けを行い,多群間で,発症時臨床情報,脳梗塞臨床病型,臨床背景,画像所見について,入院時採血データとの関連を比較検討した.3.退院時の認知機能レベル別(MMSEによるスケール別)の予後不良因子,および再発危険度(脳梗塞)について,多変量解析にて検討を行った.4.退院後の予後データが蓄積されつつあり,解析結果の一部を学会発表する予定である.5.本研究に関連する検討項目について,サブ解析および別集団での検討を行い,学会発表,論文発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り,FSR登録症例は,脳梗塞群で年間約1,000例の追加があり,症例の蓄積が進んでいる.各協力施設での,臨床病型を初めとした臨床情報の収集は順調に進み,脱落例は少数にとどまり,同意取得率は90%以上であった.脳卒中専門医による,同一の診断基準での脳梗塞疾患群が登録され,統計解析を今後行うためのデータ蓄積が順調に集められている.同時に,登録症例については,CRCによる発症後の定期的な予後調査(機能予後=mRS)を継続し,心疾患および脳血管疾患再発の有無を追跡施行中である.多数例での解析可能なデータの蓄積がなされたため,これら結果の一部を,国内外の学会総会で発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
症例の登録を推進し,予後調査を遂行,対象集団での解析を進め,結果の発表を国内外で行う予定である.1.認知機能障害が,脳卒中再発の独立した危険因子であることを,多変量解析を用いた解析で再検討,確認する.2.認知機能障害の程度が(MMSEのスコア別),再発率に影響を及ぼすか否かを,Cox比例ハザードモデル解析法,等を用いて検討する.3.MMSEの項目別に層別解析を行い,特異的な機能低下が脳卒中再発に影響を及ぼすか否か,検討を行う.4.認知機能障害が,脳卒中再発のみならず,心血管疾患の発生や死亡率に影響を及ぼすか否かを,認知機能の程度も加味して検討し,危険度を求める.5.退院時の二次予防薬を検討項目に加え,認知機能障害患者の脳卒中再発予防に対する,至適予防薬の選定を行う. <第59回日本神経学会学術大会(2018年5月23日~,札幌)にて口演発表予定> 『認知機能と脳卒中再発の関連について-Fukuoka Stroke Registry-』前田 花佳,桑城 貴弘,他.
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Causes of Carryover |
<理由>1.研究活動に必要な物品等が,既存の設備や研究員個人の物品で代替することが可能であったため.2.研究遂行に必要な会議および情報収集を,Webネットワークを利用した書面で行ったため,旅費や物品費が節約可能であった.3.学会活動を,必要最小限にとどめ,国内学会を中心に行ったため. <使用計画>今年度は,協力研究員らによる学会発表が多数予定されており,活動費の支出が増えることが予想される.また,最終年度にあたり,積極的に症例登録を推進し,研究活動を遂行するための情報収集会議を頻回に行う予定であり,繰越金の使用を検討している.
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