2017 Fiscal Year Research-status Report
TDP-43分子病変の時空間解析技術の創出と、そのFTLD早期診断への応用
Project/Area Number |
15K09355
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
植木 美乃 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40467478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 秀直 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特任教授 (90181297)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 認知症 / 分子イメージング / 高次脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration: FTLD)は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症に次ぐ認知症の原因疾患であり、社会的行動変化、感情変化が著明な初発症状である。罹患脳では神経細胞、グリアにユビキチン陽性封入体が観察され、FTLD-Uとも称される。最近、TAR DNA-binding protein of 43 kD(TDP-43)が細胞内封入体の主要構成タンパク質であることが確認され、TDP-43がFTLDの病態生理に与る仕組みに関心が寄せられている。従前のFTLD患者死後脳の病理学的、生化学的解析により、TDP-43のC末断片と凝集体の生成が観察されているが、それらの生起過程をin vivoで解析することができる脳内分子動態解析技術は、これまでになく、病態初期の分子病変の病理を詳解し、早期診断、根本的治療のためのin vivo分子イメージング技術の創出が俟たれていた。 我々は、精神神経疾患病態脳での神経細胞死に与るプロテアーゼの一種、カスパーゼ-3の酵素活性を、神経細胞培養系でNMRを用い定量評価するための機能プローブを創製し、それにより、アポトーシスを誘導した神経細胞培養系におけるカスパーゼ-3の活性化を、リアルタイムで測定することに成功した。FTLD病態脳では、TDP-43が病態特異的に未同定のプロテアーゼの活性化により切断され、C末断片を生成するので、本研究ではTDP-43の切断領域ペプチドの一端をGd3+で、他端を19Fで標識したNMRプローブを新たに調製している。すなわち、カスパーゼ-3酵素活性の定量評価のためのNMR機能プローブを改変し、FTLD病態モデル培養細胞に導入し、病態プロテアーゼの活性化によるTDP-43のC末断片の生成を、NMRを用いてリアルタイムで定量解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規プローブの作製は京都大学で行っているが、アルツハイマー型認知症のγセクレターゼ酵素活性依存性にMRIシグナルを生じるMRI機能プローブは作製されているが、カスパーゼ-3の酵素活性を、神経細胞培養系でNMRを用い定量評価するための機能プローブの作製に難渋しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
京都大学との連携をさらに密にして、難渋しているカスパーゼ-3酵素活性の定量評価のためのNMR機能プローブを改変し、FTLD病態モデル培養細胞に導入し、病態プロテアーゼの活性化によるTDP-43のC末断片の生成を、NMRを用いてリアルタイムで定量解析することを目指す。
|
Causes of Carryover |
臨床・教育業務が忙しく京都大学と連携してカスパーゼ-3酵素活性の定量評価のためのNMR機能プローブを改変し、FTLD病態モデル培養細胞に導入し、病態プロテアーゼの活性化によるTDP-43のC末断片の生成を、NMRを用いてリアルタイムで定量解析する時間的余裕を取ることができませんでした。その結果、次年度使用額が発生しました。 次年度は京都大学共同研究者である福山秀直先生の関連研究室への出張や共同会議に経費を使用する予定です。
|