2016 Fiscal Year Research-status Report
分泌顆粒特異的分子SKIPがインスリン分泌とインクレチン分泌を調節する意義
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15K09384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原島 伸一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80444793)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】sphingosine kinase 1-interacting protein (SKIP)のインスリン分泌に及ぼす影響を検討した。 【方法】SKIPノックインマウスを作成した。グルコース応答性インスリン分泌はin vivoおよびex vivoで検討し、分子機序は、単離膵島を用いて様々な経路を検討した。 【結果】SKIP-/-マウスでは、SKIP+/+マウスに比べipGTT後の血糖値は、30分および60分で有意に低下し、血糖-時間曲線下面積(BG-AUC)が約15%減少した。インスリン値は15分及び60分でそれぞれ有意に上昇し、インスリン-時間曲線下面積(insulin-AUC)が約1.25倍増加した。また、10nM exendin-4存在下でのipGTTでは、SKIP+/+に比べSKIP-/-では、血糖値レベルに変化はなく、インスリン値は10分および15分で有意に低かったが、insulin-AUCには差が認められなかった。SKIP+/+膵島では、GSISは、2.8mMグルコース比し11.1mMグルコースで3.2倍、16.8mMグルコースで7.3倍増加したのに対し、SKIP-/-膵島では、同様に、それぞれ5.5倍、14.4倍増加した。しかし、exendin-4存在下のインスリン分泌に差は認められなかった。このことから、SKIP-/-膵β細胞では、グルコース感受性が増加し、グルコース刺激単独でインスリン分泌が最大限になることが示唆された。分子メカニズムは、インスリン分泌経路に関わる分子を様々に検討したが、その機序は明らかでなかった。 【結語】SKIPは膵β細胞に発現し、同分子の欠損は、cAMP、PDE、SPHK非依存性にGSISを増強した。以上から、SKIPは、新たなメカニズムを介してインスリン分泌を調節する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルコース応答性インスリン分泌に関する研究に関しては一定の成果が得られ、論文化し、アクセプトされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
SKIPはグルコース応答性インスリン分泌を促進したが、その詳細なメカニズムは不明である。 そこで、新たな手法を用い、その機序を明らかにする。 加えて、SKIPがメタボリックシンドロームに対する改善効果も認められ、SKIPの新たな役割を検討する。
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