2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism based development of differentiation method for pancreatic bud-like cells from human pluripotent stem cells
Project/Area Number |
15K09385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊田 太郎 京都大学, iPS細胞研究所, 講師 (60593530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PDX1 / NKX6.1 / 膵臓 / β細胞 / インスリン / 糖尿病 / iPS細胞 / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病は世界規模の医学的・経済的問題であり、膵β細胞の供給源と補充療法の開発は急務である。ヒト幹細胞から分化誘導にて作製した胎生期の膵芽細胞の移植がβ細胞の補充に有効であることが示唆されている。しかし、その分化機序や、安定して高効率に作製する方法は確立されていない。本研究の目的は、膵芽細胞に特異的なマーカー遺伝子NKX6.1を指標として、ヒトiPS細胞から膵芽細胞への分化機序を解明し、安定かつ効率的な分化誘導法の開発につなげることである。 これまでにPDX1陽性細胞から膵芽細胞への分化段階において、細胞骨格に関連する分子の活性調節剤を複数種類試したところ、ミオシン阻害剤の一部や、ROCK阻害剤で処理することで膵芽細胞への分化が促進することを見出した。ROCKや非筋ミオシンの阻害は細胞死を抑制することが知られているが、本分化培養条件ではROCKやミオシンの阻害剤の有無と関係なく細胞死が少なく、細胞死抑制系の関与は低いと考えられた。続いて、膵芽細胞への分化が促進される高細胞密度条件や細胞塊の浮遊培養系において、これらのシグナル伝達経路の活性を評価したところ、ROCK活性や非筋ミオシンの発現量が低下していた。これまでにROCKは非筋ミオシンの上流であることが他の細胞種で報告されていることを考慮すると、ROCK-非筋ミオシンの経路が膵芽への分化過程に抑制的に働くことが示唆された。 また、遺伝子発現解析に基づいた膵芽細胞への分化機構解明に向けたアプローチも開発しており、予備検討結果にて信頼できる精度の遺伝子発現プロファイルを得られることを確認できたことから、実験系を確立したと考えている。
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Research Products
(10 results)