2017 Fiscal Year Annual Research Report
Pathological mechanism of sequential cleavage model of insulin receptor
Project/Area Number |
15K09391
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
湯浅 智之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 特任准教授 (50304556)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 可溶性インスリン受容体 / インスリン抵抗性 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン受容体は、その細胞外ドメインが切断され可溶性インスリン受容体(soluble Insulin Receptor; sIR)として血中に存在し、糖尿病患者群では健常者群に比して血中のsIRが有意に増加している(Diabetes, 2007)。 前年度までに本事象を再現するin vitro系(Yuasa et al.,BBRC, 2014)を用いてインスリン受容体の切断分子機構を明らかにした。すなわち、インスリン受容体はカルパイン2により細胞外で切断され、続いてγセクレターゼにより細胞膜通過ドメインが切断されるという二段階の切断を受けていることを証明した。同時にインスリン受容体の切断はインスリン抵抗性の要因となることを示した。これは、インスリンクランプ法を用いて血中sIR値が2型糖尿病患者のインスリン感受性と負に相関することと一致した(Yuasa et al.,Diabetologia, 2016)。 本年度は、妊娠においてインスリン受容体の切断が果たす役割について、分子メカニズムに関する基礎研究と臨床研究を並行して行った。血中sIR値が血糖値非依存性に高値を示す群が女性優位であることから、月経周期によりsIR値が変動する可能性を見出した。さらに、妊婦血清中のsIR値は女性ホルモンとのみ正に相関しており、血糖値や体重といった他のマーカーとは相関を認めなかった。in vitro系では、女性ホルモンが培養液中sIRを増加させインスリン抵抗性を惹起していることが確認された。妊娠糖尿病は妊娠時にはじめて指摘される糖代謝異常であり、胎盤性ホルモンにより惹起されるインスリン抵抗性がその主因とされるがその病態の解明は不十分であったが、女性ホルモンがインスリン受容体の切断を介してインスリン感受性を調節する可能性を示唆する知見が得られた。
|