2015 Fiscal Year Research-status Report
膵ベータ細胞における発生および成熟過程のエピジェネティク制御機構の解明
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15K09392
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
勝田 仁 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50333240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永淵 正法 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00150441)
梅村 創 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (90136432)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵ベータ細胞再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、1型糖尿病の根治的治療法の確立を目指し、これまでに、ヒトiPS細胞やマウスの各種細胞からインスリン産生細胞を作製することに成功している。世界的にも同様の研究が進められているが、いずれも臨床応用可能なレベルにまで機能的に成熟したインスリン産生細胞は得られていない。一方、生体でのインスリン産生細胞である膵β細胞では、エピジェネティク制御機構により、発生・成熟に関わる様々な遺伝子群の発現が制御され、機能的に高度に調和した細胞となっている。 そこで、本研究では、発生の各段階の膵β細胞において、①エピゲノム修飾パターン(DNA修飾、ヒストン修飾)、②エピゲノム制御因子であるmicro-RNAの発現、③エピジェネティク制御の結果である遺伝子発現プロファイルを解析し、膵β細胞発生・成熟過程のエピジェネティク制御機構を統合的に解明する。これにより、糖尿病の根本的治療法の開発に向けた、代替膵β細胞作製の基盤の確立を目指す。 研究初年度にあたる平成27年度は、膵β細胞特異的に緑色蛍光蛋白を発現するトランスジェニックマウス(MIP-GFPマウス)より、発生・成熟各段階の膵β細胞を回収し、98%の高純度の膵β細胞が得られることを実証した。 micro-RNA等のSmall RNAは、組織特異的または時期特異的に多数の遺伝子の発現を制御している。我々は上記の発生・成熟各段階の膵β細胞から、micro-RNAを精製し、cDNAを合成した。このmicro-RNA由来cDNAの塩基配列を、次世代シーケンサー(GAIIx)で網羅的に解析し、解析した細胞で発現するmicro-RNAの同定と発現量の定量を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、当初の計画に従い、おおむね順調に研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】エピジェネティク解析:(1) micro-RNA解析;micro-RNA等のSmall RNAは、組織特異的または時期特異的に多数の遺伝子の発現を制御している。本研究では、解析する細胞から、micro-RNAを精製し、cDNAを合成する。このmicro-RNA由来cDNAの塩基配列を、次世代シーケンサー(GAIIx)で網羅的に解析する。これにより、解析した細胞で発現するmicro-RNAの同定と発現量の定量を行う。(2)遺伝子発現プロファイル解析:RNA-シーケンス法(RNA-Seq)エピジェネティク遺伝子発現制御の結果である遺伝子発現プロファイルを解析する。解析対象の細胞よりmRNAを精製し、cDNAを合成後、次世代シーケンサー(GAIIx)を用いて、シーケンス解析を行う。これにより、遺伝子発現のプロファイル(発現遺伝子の同定と発現量定量)を解析する。 【2】 膵β細胞の分化・成熟に重要と想定される候補遺伝子群の選定:上記【1】の解析で膵β細胞の発生・成熟に伴って発現量が変化したmicro-RNAが結合しうる標的遺伝子を特定する。これらの標的遺伝子について、【1】で行った遺伝子発現プロファイル解析(RNA-Seq)のデータと照合して、膵β細胞の分化・成熟に伴って実際に遺伝子発現量の変化が認められた遺伝子を、「膵β細胞の分化・成熟に重要と想定される候補遺伝子群」として選定する。 【3】 膵β細胞の分化・成熟に重要な遺伝子群の検証と確定:上記【2】で選定した「候補遺伝子」あるいは「候補遺伝子に対するsiRNA」を膵β細胞前駆細胞に導入して、「候補遺伝子の高発現またはノックダウンが、未熟膵β細胞の分化・成熟に影響を与えるか」を解析する。これにより膵β細胞の発生・成熟に重要であるかを検証し、膵β細胞発生・成熟過程のエピジェネティク制御機構を統合的に解明する。
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Causes of Carryover |
本研究では、エピジェネティク解析として①全ゲノムに渡るDNA修飾(メチル化)解析および②ヒストン修飾(メチル化、アセチル化)解析、③micro RNA発現解析、④遺伝子発現プロファイル解析を行う予定であるが、初年度は、解析を行なう順番を変更し、経費が比較的低額のmicro RNA発現解析を先に行ったため、執行した経費が予定より小額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、当初初年度の予算に組み入れていた①全ゲノムに渡るDNA修飾(メチル化)解析および②ヒストン修飾(メチル化、アセチル化)解析等を行なうため、初年度より繰り越した経費を使用する予定である。
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