2016 Fiscal Year Research-status Report
リピドミクスを活用するエネルギー吸収の複合動態解析法の開発
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15K09401
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
袴田 秀樹 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70284750)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エネルギー・糖質代謝異常 / 膜輸送と輸送タンパク質 / リピドミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,本研究で開発している脂質の網羅的解析法(リピドミクス法)によって検出できる脂質分子の種類を増加させ,定量的な分析法として発展させることを目的として実験を行った.液体クロマトグラフィー-イオントラップ飛行時間型質量分析法(LC-IT-TOF-MS)によるリピドミクスの従来法では,検出している脂質分子の種類は5~7種であり,目的によっては分析法として有用である.一方,代表的な脂質分子の種類をカバーできている訳ではなく,特に生体試料を分析対象として取り扱うためには,検出可能な脂質分子の種類を増加させる必要がある.そこで本研究では,脂質の機能や分析に関する過去の報告,定量のための内標準物質の標品の入手のし易さなどを考慮し,19種類の脂質分子を選択した.具体的には,リゾホスファチジン酸(17:0),リゾホスファチジルコリン(17:0), リゾホスファチジルエタノールアミン(17:1), リゾホスファチジルグリセロール(17:1), リゾホスファチジルイノシトール(17:1), リゾホスファチジルセリン(17:1), ホスファチジン酸(17:0/17:0), ホスファチジルコリン(17:0/17:0), ホスファチジルエタノールアミン(17:0/17:0), ホスファチジルグリセロール(17:0/17:0), リゾホスファチジルイノシトール(16:0/16:0), ホスファチジルセリン(17:0/17:0), スフィンゴミエリン(d 18:1/12:0), セラミド(18:1/17:0), へキソセラミド(18:1/17:0), コレステロール-d6, コレステロールエステル(20:0), ジアシルグリセロール(17:0/0:0/17:0), トリアシルグリセロール(17:0/17:0/17:0)を内標準物質として選定し,LC-IT-TOF-MSによる検出条件を詳細に検討したところ,全ての物質のイオン化パターンを特定し,ピークを検出することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進行している.リピドミクス法の開発に関しては,当初の計画よりも高性能な分析法ができそうな手応えがあり,このまま推進して行けばよいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
脂質分子は,分子の種類のバリエーションが豊富であり,且つ,同じ種類であっても脂肪酸の炭素鎖長や不飽和度の違いによって分子の数は膨大になる.そのため, 医薬品定量のように測定対象毎に標品を準備し,その検量線から定量する方法は現実的ではない.リピドミクスでは,分子の種類ごとに適切な内標準物質を設定し,内標準物質のピーク強度に対する測定対象のピーク強度の比を求めて,半定量するのが一般的である.平成28年度までの研究によって,内標準物質の設定とその検出条件を確立したので,先ず内標準物質測定の分析法バリデーション(直線性,範囲,定量限界,検出限界などを求める)を行う.続いて,代表的な脂質(ゾホスファチジルコリン,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルグリセロール,スフィンゴミエリン,トリアシルグリセロール)を選択して,それぞれの内標準物質と同時測定したとき,内標準物質のピーク強度に対する測定対象のピーク強度の比から半定量が可能であるかを確認する.開発したリピドミクス法の評価を行った後は,経腸栄養剤(半消化態栄養剤)の脂質分析(定性分析と半定量分析)への適用が可能であるか検討する.更に,CaCo-2細胞単層培養系を用いる脂質吸収動態実験法の開発へと展開する.
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Causes of Carryover |
ほとんど使い切った(99.999%使用)と考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算の一部として使用する。
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[Journal Article] Determination of serum brassicasterol in spontaneously hypertensive rats stroke-prone fed a high-ergosterol diet by ultra performance liquid chromatography.2016
Author(s)
Ohtsubo, T., Kageyama, R., Koseki, Y., Hagi, J., Kotani, A., Yamamoto, K., Kusu, F., Miura, T., Hakamata, H.
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Journal Title
Eur. J. Lipid Sci. Technol.
Volume: 118
Pages: 1074-1083
DOI
Peer Reviewed
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