2016 Fiscal Year Research-status Report
新規視床下部ホルモンによる新たなストレス応答機構の解明
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15K09419
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蔭山 和則 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (30343023)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストレス / CRF / QRFP |
Outline of Annual Research Achievements |
Corticotropin-releasing factor (CRF) は、ストレス反応における視床下部―下垂体―副腎 (HPA) 系賦活化の主要な因子である。pyroglutamylated RFamide peptide (QRFP)は、代謝や摂食行動に重要なホルモンとされる。QRFP受容体であるGPR103は、ストレス応答の中心である視床下部室傍核(PVN)での発現が報告され、ストレス反応への関与が示唆され、視床下部4B細胞を用いて、QRFPによるCRF遺伝子発現調節機序について検討した。 ラット視床下部4B細胞においてGpr103a/b mRNA発現とGpr103蛋白発現を確認した。Gpr103はラット視床下部に発現していることが知られており(2)、QRFPはラット視床下部においてGpr103を介してCRFニューロンを活性化すると考えられる。また、本研究においてGpr103蛋白レベルはQRFP依存性に増加を示した。視床下部4B細胞において、QRFPはCRF mRNA発現とプロモーター活性を増加させた。PKA・PKC阻害薬の前投与によりQRFP添加後のCRFプロモーター活性は抑制されたことから、QRFPによるCRF遺伝子発現には、PKA及びPKC経路の関与が示された。 Gpr103受容体はGαq受容体であり、QRFPの作用によりCa2+及びPKC経路が活性化されると考えられた。本研究ではPKA経路を介したCRF遺伝子発現の増加も示されており、QRFPによるpCREB蛋白発現の増加も確認した。更に、PKC阻害薬の前投与によりCREBリン酸化は抑制された。以上から、QRFPによるCRF遺伝子発現には、PKA及びPKC経路の関与が示され、PKC経路及びCa2+依存性シグナルがpCREB経路の上流にあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット視床下部PVN由来とされる4B細胞を用いて、Gpr103の発現とQRFPによるCRF遺伝子発現調節への関与につき明らかにした。これらの結果は、学会発表を行い、論文へまとめた。QRFPはCRF遺伝子発現を増加させ、HPA系の活性化に関与すると考えられ、更に検討を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
視床下部細胞を用いて、培養液中のglucoseやleptin濃度の変化によって、kisspeptin及びQRFP誘導のCRF遺伝子発現及び転写活性が変化するかどうかreal-time PCR及びプロモーター活性によって測り、細胞内伝達経路を推定する。更に、Western法で転写因子CREBリン酸化、Fos/Jun蛋白発現の変化について検討し、これら因子の役割を調べることで、高血糖時や肥満に関わる細胞内伝達シグナルについて解明する。 マウスにおけるkisspeptin及びQRFP脳室内投与による視床下部PVNにおけるCRF mRNA遺伝子発現及び下垂体POMC mRNA、血中ACTH及びcortisol値を検討し、ストレス関連因子の増加作用を明らかにする。低血糖ストレス及びリポポリサッカライド刺激によって、可視化視床下部CRF遺伝子発現、kisspeptin及びQRFP mRNA発現の時間的変化を調べる
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