2016 Fiscal Year Research-status Report
尿細管上皮細胞における甲状腺ホルモン受容体の作用の解明
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15K09424
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古屋 文彦 山梨大学, 総合研究部, 講師 (90456450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和也 山梨大学, 総合研究部, 助教 (00646135)
北村 健一郎 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10304990)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尿細管障害 / 甲状腺ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
TRノックアウトマウスより採取した骨髄細胞をMCSFなど増殖因子を添加してin vitroにマクロファージに分化誘導し、野生型マウス由来のマクロファージと比較検討した。TRKOマクロファージはNF-kB経路が活性化しており、野生型マウス由来マクロファージと比較してTNFα、IL1βなど炎症性サイトカインの産生が増強し、細胞増殖能、遊走能が増加していた。TRKOマクロファージは、尿細管上皮細胞との共培養において炎症性サイトカインを介して細胞障害を誘導していることが明らかになった。 甲状腺において産生される甲状腺ホルモン(TH)はプロホルモンであるサイロキシン(T4)として分泌される。T4は末梢において、脱リン酸化酵素2(Dio2)の働きで活性型ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)に、Dio3の働きで不活性型ホルモンであるrT3へと変換される。片側の尿管結紮を行った慢性腎臓病モデルマウス(UUOマウス)において、健側の腎臓と比較して、障害側の腎臓では尿細管上皮細胞においてDio2の発現が増加していた。これは、障害側の腎臓においてDio2の発現が増加してT4→T3への変換が増加していることを示唆するものと考えられた。 間質において産生された生理活性を有するT3の炎症細胞における作用を、セルソータ―を用いて間質に存在する骨髄由来単球の定量と抽出を行い、骨髄由来単球は表面抗原CD11bを発現しており、CD11b陽性細胞の中でもLy6Chighの細胞はさらに臓器障害性が高いことが知られているが臓器障害性マクロファージの細胞数と甲状腺ホルモン代謝との関連を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポドサイトや尿細管細胞における細胞周期の調節、細胞増殖、炎症細胞の浸潤や組織の線維化に対するTRの作用について検討されたことはこれまでにない。臓器におけるたんぱく質の発現レベルの解析はwesternblotting法、免疫組織染色法により検討している。 これまでの研究結果は腎臓におけるストレス応答や細胞死においても甲状腺ホルモンと甲状腺ホルモン受容体(TR)が重要な役割を果たしている可能性を示唆するもので、さらに実験動物の解析を行うことでin vivoのレベルで腎臓におけるTRの作用を解明することが可能になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺において産生される甲状腺ホルモン(TH)はプロホルモンであるサイロキシン(T4)として分泌される。T4は末梢において、脱リン酸化酵素2(Dio2)の働きで活性型ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)に、Dio3の働きで不活性型ホルモンであるrT3へと変換される。肺、腎臓にはDio2蛋白、肝臓・筋肉にはDio3が高度に発現していて、THの代謝に重要な働きを有していることが知られている。げっ歯類の冬眠期、飢餓状態には消耗を抑えるためDio3の発現が増加し、rT3への変換が優位となる。一方、敗血症や急性肺障害の際にはDio2の発現が増加しT3への変換が優位になる。CKDのような慢性臓器障害時のホルモン代謝制御については明らかでない。予備実験において、片側の尿管結紮を行った慢性腎臓病モデルマウス(UUOマウス)において、健側の腎臓と比較して、障害側の腎臓では尿細管上皮細胞においてDio2の発現が増加していた。これは、障害側の腎臓においてDio2の発現が増加してT4→T3への変換が増加していることを示唆するものと考えられる。そこで、CKDモデルマウスの腎臓においてのT4→T3やT4→rT3への変換の定量を行っていく予定である。極めて微量な尿細管間質局所におけるT4、T3、rT3の定量化には、質量分析(mass spectrometry: MS)を行う。 臓器試料の固相抽出を用いて行うことで夾雑物を除去しイオン化効率を上げるために逆相液体クロマトグラフィを行う。MSでの解析に際してT3、T4、rT3の13C同位体を内部標準として用いることで定量化を行う。同様の手法により、他臓器(肝臓・筋肉・肺・脂肪組織)、循環血液中のT4、T3、rT3の定量化が可能となり、腎障害モデルマウスでの腎障害進行の過程での、他臓器におけるTH代謝が明らかになると考えられる。
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Research Products
(2 results)