2016 Fiscal Year Research-status Report
骨芽細胞特異的AMPK欠損マウスを用いたAMPKの骨形成における重要性の解明
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15K09433
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
金沢 一平 島根大学, 医学部, 講師 (50452553)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | AMPK / 骨芽細胞 / ノックアウト / 骨形成 / 骨吸収 / 骨細胞 / RANKL / スクレロスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】骨におけるAMP-activated protein kinase (AMPK)の役割を明らかにする。 【方法】①骨芽細胞特異的AMPKノックアウトマウスを用いて、骨芽細胞AMPKの骨代謝における重要性を検討する。②骨細胞におけるAMPKの役割を検討する。 【結果】①AMPKa1 floxedマウスとOsterix-Creマウスを購入し、交配することにより骨芽細胞特異的AMPKa1ノックアウトマウスを作成した。このマウスは野生型マウス(AMPKa1 floxedマウス)に比較し、成長障害が認められ、骨長が短く、骨量が低下していた。マイクロCTによる骨構造解析においても、骨量低下、骨梁数の減少、骨梁間隔の増加が確認された。一方、骨構造解析では骨形成低下は認められず、むしろ骨吸収が亢進している結果を認めた。骨芽細胞特異的AMPKa1ノックアウトマウスと野生型マウスの頭蓋骨より骨芽細胞を単離し、RNAを採取して骨芽細胞分化マーカーをreal-time PCRにて検討したところ、骨芽細胞分化関連因子であるALP、type 1 collagen、osteocalcin、BMP-2、Runx2、osterixなどの有意な低下が認められた。一方、破骨細胞活性に影響するRANKL発現が有意に増加しており、骨芽細胞AMPKは破骨細胞活性に関与している可能性が示唆された。②骨細胞株MLO-Y4を用いて、AMPK活性化剤であるAICARを投与することにより、AMPK活性化による抗アポトーシス効果、RANKL発現抑制、スクレロスチン発現亢進を認めた。したがって、骨細胞におけるAMPK活性化は抗アポトーシス作用、骨代謝回転抑制作用を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、骨細胞特異的AMPKの骨構造解析、ex vivoにおける骨芽細胞分化マーカー、破骨細胞関連因子の解析が順調に進んでいる。また、骨細胞株のin vitroの実験が軌道に乗っており、すでに3報の論文がacceptされた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、骨芽細胞特異的AMPKノックアウトマウスの解析を論文投稿し、必要に応じて追加実験を行う予定としている。また、骨細胞AMPKの役割についての検討では、現在骨芽細胞アポトーシス誘導因子であるホモシステイン、advanced glycation end productsによる影響がAMPK活性化で解除されるかどうかの検討を行っている。また、骨細胞におけるグルコース取り込みとAMPKとの関連についても興味深いデータを得ており、この点についても検討を加える予定としている。
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Causes of Carryover |
マウスの実験で当初予定していたマイクロCTや組織切片作成が遅れたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画は順調に進行しており、平成29年度に上記の検討を行う予定である。
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