2015 Fiscal Year Research-status Report
終末糖化産物受容体によるグルココルチコイド代謝・作用調節とその機序の解明
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15K09443
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
庄司 拓仁 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40624044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 英則 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80301852)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RAGE / 副腎皮質 / コルチコステロン / 炎症 / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、終末糖化産物(advanced glycation end-products (AGEs))の受容体(receptor for AGE (RAGE))が生理的役割としてHPA axisに関与するという仮説を提唱し、RAGEを介したグルココルチコイド分泌・作用に関しin vitro, in vivoモデル系を用いて、その機序を含めてRAGEの意義を解析する。 12週齢では野生型マウスと比較して、RAGE欠失マウスは、体重差は認めない(WT:26.2±0.35(g),RAGE-KO:26.0±0.40(g), P=0.67)ものの、副腎重量が有意に大きく(WT:4.9±0.26(mg),RAGE-KO:6.7±0.37(mg), P=0.0011)、副腎皮質細胞の腫大が認められている。また、コルチコステロンの基礎分泌量は、有意に低値(WT:217.5±19.5(μg/day),RAGE-KO:114.2±12.3(μg/day), P=0.001)であった。副腎から採取したRNAを用いてReal time PCRを施行したところ、ステロイドホルモン合成にかかわるStAR, CYP11A1, HSD3B1, POR, CYP11B1では有意差を認めなかったが、アルドステロン産生にかかわるCYP11B2でのみ、RAGE欠失群で発現が1.24倍有意に高値(P=0.03)を認めた。 免疫染色で副腎におけるRAGE発現を確認したところ、副腎皮質細胞にRAGE発現を認め、RAGEがコルチコステロンの産生・分泌に関与する可能性が高いと考えられた。 現在、Lipopolysaccharide (LPS) 負荷炎症惹起マウスモデルおよび培養副腎皮質細胞(Y1(マウス))を用いて、コルチコステロン産生・分泌に及ぼすRAGEシグナルの解明を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった、RAGEが副腎皮質ホルモン産生・分泌に関与するという仮説は、RAGE欠失マウスとその対照である野生型マウスを用いた解析から、RAGE欠失によりコルチコステロンが低下しているという現象が確認された。副腎RNAを用いたReal time PCR解析から、RAGE欠失マウスではコルチコステロン低値に対して、アルドステロン産生を増加させて対応していることが予測された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、RAGEが副腎皮質ホルモン産生・分泌に関与するメカニズムを、LPS負荷炎症惹起マウスモデルおよび培養副腎皮質細胞(Y1(マウス))を用いて解析していく予定である。具体的には、使用予定細胞(Y1(マウス)を用いて、RAGE発現の検討を行う。また、アデノウイルス(Ad-RAGEあるいはAd-LacZ)により、培養細胞にRAGEを強制発現させ、グルココルチコイド産生亢進の機序を検討する。in vitroでの実験系が確立されれば、NF-κBの阻害剤や、COX1, COX2阻害剤を用いてRAGEシグナルの解析を行う。
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