2017 Fiscal Year Research-status Report
血管老化におけるリポキシゲナーゼの細胞内局在制御システムの役割
Project/Area Number |
15K09451
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
勝見 章 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 血液内科部, 部長 (80378025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 光生 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所, 副所長 (00212225)
天野 睦紀 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90304170)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Rho GTPase / エフェクター / 血管老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rho GTPaseの新規エフェクター探索のため、我々はアフィニティクロマトグラフィーとそれに続くマススペクトロメトリー(LC/MS-MS)実験系を確立した。血小板細胞質分画をアフィニティーカラム精製することで我々は活性型RhoAに特異的に結合する複数の蛋白を同定した。既知のRhoAエフェクター (mDia, PKN1, Rho kinase, IQGAP2, Daam1, Daam2)に加えて、アラキドン酸リポキシゲナーゼ-12(ALOX12)が活性型RhoA(RhoA-L63)に結合することが見いだされた。RhoAとALOX12をCOS-1細胞内で発現したところ両者の直接の結合は認められなかった。一方でRhoAエフェクターDaam1とALOX12の結合がCOS-1細胞での発現実験で証明された。このことからALOX12はDaam1を介して活性型RhoAに結合することが判明した。さらにALOX12のLH2ドメインがDaam1のN末に結合することが明らかになった。Daam1とALOX12の細胞内共局在を明らかにするとともに、RhoA下流阻害剤( Y-27632) を内因性のALOX12が発現した細胞に添加し、脂質メディエーター(ロイコトリエン、リポキシン、HETEなど)の産生が抑制されるかどうかをELISAで検討した。また各種RhoファミリーノックアウトマウスにおけるALOX12の細胞内局在を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はRho family GTPaseをbaitとしたアフィニティクロマトグラフィーとそれに続くマススペクトロメトリー(LC/MS-MS)実験系を確立し、活性型RhoAに特異的に結合する複数の蛋白を同定した。そのうちアラキドン酸リポキシゲナーゼ-12(ALOX12)が活性型RhoAに結合することを見いだした。RhoAとALOX12をCOS-1細胞内で発現したところ両者の直接の結合は認められなかった。一方でRhoAエフェクターDaam1とALOX12の結合がCOS-1細胞での発現実験で証明された。このことからALOX12はDaam1を介して活性型RhoAに結合することが判明した。さらにALOX12のLH2ドメインがDaam1のN末に結合することが明らかになった。以上の進捗に加え、更に我々はCdc42上流グアニン交換因子Zizimin2,3, RhoFのノックアウトマウスを作製済みである。これに加えて複数のRho family GTPasesの全身性、またはコンディショナルノックアウトマウスを計画中である。以上のことからおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)加齢マウスにおけるALOX12活性上昇の確認と、Rho family機能との関連の証明 2ヶ月齢の若年マウス、22ヶ月齢の加齢マウスの間で血中のALOX12酵素活性をALOX12下流の脂質メディエーターのELISAで比較検討中である。 さらに血管におけるALOX12免疫染色を行う。これらの実験により加齢に伴いALOX12活性は上昇するという仮説を検証する。加齢マウスにRho family 阻害剤を加えて、血管内皮におけるALOX12の細胞内局在の障害と、下流の脂質メディエーター活性低下を介して動脈硬化の抑制効果が見られるかどうかを検証する。 2)Rho family ノックアウトマウスにおける加齢に伴う血管および免疫応答性の脆弱化の評価 既に我々はCdc42上流グアニン交換因子Zizimin2,3, RhoFのノックアウトマウスを作製済みである。これに加えて複数のRho family GTPasesの全身性、またはコンディショナルノックアウトマウスを計画中である。これらのRho family ノックアウトマウスで野生型と比較してALOX12の細胞内局在が障害され、脂質メディエーター活性が低下するかどうか検証する。ノックアウトマウスではALOX12局在が障害されるために動脈硬化進展が緩徐であることが予想され、さらに免疫担当細胞の遊走能低下により免疫応答性の脆弱化が予想される。病理学的検討に加え、免疫応答の評価にはインフルエンザウイルス感染後の重篤性の指標としての生存曲線とBALF洗浄液中の好中球をはじめとする免疫細胞の変化、抗原刺激に対する応答性を同年齢の対照野生型マウスに比べて抗体、サイトカイン産生能等の低下が見られるか等を解析する。また既知のALOX12インヒビターを使用することにより、上記の表現型がより強調されるかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の勝見が平成28年4月より浜松医大から国立長寿医療研究センターに異動となった。異動 後の実験装置、機器などの研究環境の再整備に多大な時間を労した。研究成果は概ね順調にあがってい るが、当初計画達成のためにはあと1年の研究期間が必要であると考えられるため。
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[Journal Article] Rearrangement of VPS13B, a causative gene of Cohen syndrome, in a case of RUNX1-RUNX1T1 leukemia with t(8;12;21).2017
Author(s)
Abe A, Yamamoto Y, Katsumi A, Okamoto A, Tokuda M, Inaguma Y, Yamamoto K, Yanada M, Kanie T, Tomita A, Akatsuka Y, Okamoto M, Kameyama T, Mayeda A, Emi N.
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Journal Title
Int J Hematol.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Arachidonate 12-lipoxygenase binds to active RhoA through Daam12017
Author(s)
Moe Murata, Akira Katsumi, Katsuhiro Kato, Asami Matsuda, Tomoki Nishioka, Mutsuki Amano, Tadashi Matsushita, Hitoshi Kiyoi, Mitsuo Maruyama, Tetsuhito Kojima, Kozo Kaibuchi
Organizer
第39回日本血栓止血学会学術集会
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[Presentation] Arachidonate 12-lipoxygenase binds to active RhoA through Daam12017
Author(s)
Moe Murata, Akira Katsumi, Katsuhiro Kato, Asami Matsuda, Tomoki Nishioka, Mutsuki Amano, Tadashi Matsushita, Hitoshi Kiyoi, Mitsuo Maruyama, Tetsuhito Kojima, Kozo Kaibuchi
Organizer
第79回日本血液学会学術集会