2016 Fiscal Year Research-status Report
正常・異常造血におけるDNAメチル化制御分子を介した未分化性維持の新規分子機構
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15K09452
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小埜 良一 三重大学, 医学系研究科, 講師 (40422414)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、申請者の注目するDNAメチル化制御遺伝子のflox/floxマウスと(白血病関連遺伝子の発現による)誘導的白血病発症マウスを交配し、さらに誘導型Cre発現マウスと交配して得られた、DNAメチル化制御遺伝子の欠損と白血病関連遺伝子の発現を同時に誘導可能なマウスモデルを作製して、異常造血における詳細な解析を進めた。解析に先立ち、関連する既報の結果等を踏まえ、基礎的な検討として、実験系の妥当性に関して、遺伝子発現レベル等を含めた分子生物学的解析を行い、妥当性を確認した。そして、個体レベルにおける解析を進めていくと、申請者の注目するDNAメチル化制御遺伝子が、(flox/+のbackgroundにおいて)片アレルのみ欠損する状況にすると、白血病の発症が早くなる傾向がある一方、両アレルの欠損ではそのような傾向は失われていた。ただし、ほぼ全身性でのDNAメチル化制御遺伝子の欠損や白血病関連遺伝子の発現を誘導していることとの関連性が疑われる表現型が関与している可能性が考えられたため、血球系に特異的に、遺伝子の欠損や遺伝子発現を制御可能な系を新たに構築し、厳密な解析を現在進めている。また、このマウスモデルにおいて、骨髄細胞から造血系細胞を採取し、DNAメチル化制御遺伝子の欠損や白血病関連遺伝子の発現のタイミングと細胞培養系における表現型との関連性も詳細に解析し、幾つか興味深い結果が得られた。今後、そのような表現型の変化をもたらす分子生物学的な機序についても詳細に検討していく予定である。 一方、異常造血と関連した正常造血に関する解析では、造血幹細胞の機能に注目した幾つかの解析を行ったが、現時点でははっきりとした結果は得られなかった。今後得られる予定の異常造血の系の知見を踏まえて、別の角度から必要な検討をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、ほぼ当初の計画通り、各種モデルマウスにおける詳細な解析を進行させられていることから、研究実施計画に照らし合わせ、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の平成29年度研究実地計画にあるように、各種モデルマウスを用いて個体レベルで得られる知見に基づいて、分子生物学的機序に関して、異常造血におけるDNAメチル化制御分子の果たす役割の解析を詳細に進めていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度に、可能であれば受託にて行う予定であった、網羅的遺伝子解析が、より厳密な実験系の結果を踏まえた方が合理的であると考えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、より厳密な実験系の結果を踏まえて、サンプル調製を行い、網羅的遺伝子解析の受託解析に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] MYD88, CD79B, and CARD11 gene mutations in CD5-positive diffuse large B-cell lymphoma.2017
Author(s)
Takeuchi T, Yamaguchi M, Kobayashi K, Miyazaki K, Tawara I, Imai H, Ono R, Nosaka T, Tanaka K, Katayama N.
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Journal Title
Cancer
Volume: 123
Pages: 1166-1173
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] MYD88, CD79B, and CD79A Gene Mutations in CD5-Positive Diffuse Large B-Cell Lymphoma2016
Author(s)
Toshifumi Takeuchi, Motoko Yamaguchi, Kyoko Kobayashi, Kana Miyazaki, Hiroshi Imai, Ryoichi Ono, Isao Tawara, Tetsuya Nosaka, Kyosuke Tanaka and Naoyuki Katayama
Organizer
The 58th American Society of Hematology Annual Meeting and Exposition
Place of Presentation
San Diego (米国)
Year and Date
2016-12-03 – 2016-12-03
Int'l Joint Research
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