2016 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫のゲノムメチル化からアプローチする悪性化機構と新規治療標的
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15K09456
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石田 禎夫 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20305220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 博 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60570132)
丸山 玲緒 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60607985) [Withdrawn]
石黒 一也 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90784439)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / ヒストンメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの多くの研究から、DNAメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティックな制御機構の異常が癌の発生や進展に重要であることが明らかとなり、近年ではエピジェネティック修飾を標的とする阻害剤も臨床応用されはじめている。例えばHDAC阻害剤のパノビノスタットは多発性骨髄腫(MM)の治療に使用されている。一方MMは非常にheterogenousな疾患であり、腫瘍の進行の過程で様々な遺伝子異常に基づき、多様なsubcloneが生じる。そのため標的や作用機序の異なる薬剤を組み合わせた多剤併用療法を行うことが臨床上重要であり、既存の治療薬とは標的や機序の異なる新規薬剤の探索が望まれている。そこで本研究では多発性骨髄腫に有効なヒストンメチル化阻害剤を探索し臨床への応用を目指す。まず我々は各種ヒストンメチル化修飾を標的とする阻害剤を用いて、in vitroで骨髄腫細胞株における抗腫瘍効果の評価を行った。その結果、薬剤感受性試験においてMMの細胞増殖を抑制する数種類のヒストンメチル化阻害剤を同定した。さらにヒストンメチル化阻害剤が有効な細胞株においてPI染色やAnnexin V/PI染色を行ったところアポトーシスが誘導されていることが示唆された。前回までに我々は数種類のMMに対して有効なヒストンメチル化阻害剤を同定したので、今回はヒストンメチル化阻害剤が作用を発揮する際に中心的な役割を果たす遺伝子を探索することを目標に研究を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項でも述べたように我々は多発性骨髄腫(MM)に有効なヒストンメチル化阻害剤を探索し臨床への応用を目指している。前回までの報告で我々は、ヒストンメチル化阻害剤を含む各種エピジェネティック修飾を標的とする阻害剤を用いて、in vitroで骨髄腫細胞株における抗腫瘍効果のスクリーニング試験を行った。その薬剤感受性試験においてMMの細胞増殖を抑制する数種類のヒストンメチル化阻害剤を同定した。さらにヒストンメチル化阻害剤が有効な細胞株においてPI染色やAnnexin V/PI染色を行ったところアポトーシスが誘導されていることを確認した。今回我々はヒストンメチル化阻害剤を投与した細胞株を用いて、遺伝子発現アレイとそのヒストンメチル化修飾を標的としたChIP-seq法(クロマチン免疫沈降シークエンス法)を用いた統合解析を行うことにより、ヒストンメチル化阻害剤を投与することで、MMの生存や進行に重要なMYCやIRF4などの遺伝子の発現が低下し、さらにそれと一致した遺伝子のヒストンメチル化修飾の変化を伴うことを見出し、ヒストンメチル化阻害剤の抗腫瘍効果の機序であると考えている。よって我々が目標としていた『ヒストンメチル化阻害剤が作用を発揮する際に中心的な役割を果たす遺伝子を探索』に関しては概ね達成できたと思われる。今後はqRT-PCR法やウエスタンブロッティングによるさらなる検証が必要であると思われる。以上の理由により本研究課題に関しては計画通り進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前項でも述べたようにこれまでの研究により我々は多発性骨髄腫(MM)に対して有効な数種類のヒストンメチル化阻害剤を同定し、ヒストンメチル化阻害剤が作用を発揮する際に中心的な役割を果たす遺伝子を見出した。今後はヒストンメチル化阻害剤に対して感受性のある細胞株と抵抗性の細胞株に着目し、ヒストンメチル化阻害剤の有効性を決定する分子生物学な機序の解明を試みる方針である。具体的には、ヒストンメチル化阻害剤に対して感受性のある細胞株と抵抗性の細胞株の遺伝子変異、遺伝子発現、ヒストンメチル化修飾の差異に着目して、各種生化学的・分子生物学的手法により解析を行う。方法としては、次世代シークエンサーによる遺伝子変異解析、発現アレイやChIP-seq法(クロマチン免疫沈降法)により網羅的な解析を行い、候補となる遺伝子を絞り込み、それらのノックダウンや遺伝子導入実験を施行し機能的意義を明らかにしていく。一方でMM患者の臨床検体よりCD138陽性細胞を分離し、in vitroでのヒストンメチル化阻害剤の有効性を確認するとともに、ヒトMM細胞株をマウスに移植したxenograftモデルを作製し各種実験を行うことにより、上記の結果をin vivoにおいても検証していく。さらにボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドなどの既存の治療薬との併用による抗腫瘍効果の比較等を行い、臨床応用の可能性を検証する。本研究は多発性骨髄腫に有効な新規薬剤を発見できれば臨床応用への可能性も広がり有益であると考えられる点、さらに多発性骨髄腫の発癌過程の解明に繋がる可能性が考えられる点で非常に有用であると考えられる。
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Causes of Carryover |
実験手技が煩雑でデータが膨大であり、『遺伝子発現アレイとヒストンメチル化修飾を標的としたChIP-seq法(クロマチン免疫沈降シークエンス法)の統合解析による、ヒストンメチル化阻害剤が作用を発揮する際に中心的な役割を果たす遺伝子の同定のための解析』に時間を要し、さらに今後の推進方策で述べたように、『ヒストンメチル化阻害剤に対して感受性のある細胞株と抵抗性の細胞株に着目し、ヒストンメチル化阻害剤の有効性を決定する分子生物学な機序の解明』、『MM患者の臨床検体よりCD138陽性細胞を分離し、in vitroでのヒストンメチル化阻害剤の有効性の確認』、『ヒトMM細胞株をマウスに移植したxenograftモデルの作成』、『ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドなどの既存の治療薬との併用による抗腫瘍効果の比較』などの追加実験、論文の投稿料、掲載料のために、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒストンメチル化阻害剤に対して感受性のある細胞株と抵抗性の細胞株に着目し、ヒストンメチル化阻害剤の有効性を決定する分子生物学な機序を解明するために、次世代シークエンサーによる遺伝子変異解析、発現アレイ、ChIP-seq法(クロマチン免疫沈降法)により網羅的な解析を行う必要があり、それらに必要な試薬やキットを購入する。MM患者の臨床検体よりCD138陽性細胞を分離するための抗体を購入する。ヒトMM細胞株をマウスに移植したxenograftモデルを作成のするために免疫不全マウスを購入する。ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドなどの既存の治療薬との併用効果を確認するためにそれらの薬剤を購入する。これらの結果がまとまった時点で英文雑誌に投稿予定であるので、そのための投稿料、掲載料として使用する。
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[Journal Article] Phase 1 study of bortezomib in combination with melphalan and dexamethasone in Japanese patients with relapsed AL amyloidosis.2016
Author(s)
Shimazaki C, Fuchida S, Suzuki K, Ishida T, Imai H, Sawamura M, Takamatsu H,Abe M, Miyamoto T, Hata H, Yamada M, Ando Y.
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Journal Title
Int J Hematol.
Volume: 103
Pages: 79-85
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A phase 1/2 study of carfilzomib in Japanese patients with relapsed and/or refractory multiple myeloma.2016
Author(s)
Watanabe T, Tobinai K, Matsumoto M, Suzuki K, Sunami K, Ishida T, Ando K, Chou T, Ozaki S, Taniwaki M, Uike N, Shibayama H, Hatake K, Izutsu K, Ishikawa T, Shumiya Y, Kashihara T, Iida S.
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Journal Title
Br J Haematol.
Volume: 172
Pages: 745-756
DOI
Peer Reviewed
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