2016 Fiscal Year Research-status Report
成人T細胞白血病治療と予防を目指したHTLV-1ペプチドワクチンの開発研究
Project/Area Number |
15K09481
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有馬 直道 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30175997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小迫 知弘 福岡大学, 薬学部, 准教授 (40398300)
久保田 龍二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70336337)
吉満 誠 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70404530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Tax / HBZ / CTL |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病リンパ腫 (ATL)に対する治療は従来の多剤併用化学療法、造血幹細胞移植により一定の予後改善効果を得られているものの、3年生存率は急性型で24%程度と新規治療法開発の必要性については論を待たない。近年ATLにおいては抗CCR4抗体が開発され(Yamamoto K et al. Journal of Clinical Oncology, 2010 (28) 1591-1598)、2012年認可となっているが、その長期臨床効果については限定的である。これまでHTLV-1由来蛋白であるTaxに対する細胞障害性T細胞(CTL)の一連の研究から、ATL発症にはCTL不全が強く関与していることを報告してきた。そこでHTLV-1関連蛋白がATL発症予防のためのCTL誘導型ワクチンの標的になりうるのではないかと本研究を立案した。まずATL細胞に恒常的に発現しているHBZを新たな標的として検討した。これまでHTLV-1によって引き起こされるHAMの症例では、HBZ特異的CTLをテトラマー試薬を用いて検出できた。今回我々が、ATL症例末梢血単核細胞を用いて検討したところ、検討した全例(急性型、慢性型、くすぶり型)においてHBZテトラマー陽性細胞は検出できなかった。これはATL症例ではCTL機能と多様性が低下していることの報告と合致している。今後はHTLV-1特異的CTLがしばしば増強して観察される同種造血幹細胞移植患者検体を用いた検討を予定する。以上の知見がこれまでに得られている。HBZをATL発症予防のワクチン候補とするには工夫が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HBZ特異的テトラマー陽性T細胞をATL症例において検出できなかった。これはATLにおいて限定的な発現しか認めないTaxと比較して、ほぼ全例で発現しているHBZのメリットをワクチン開発において生かせない可能性が示唆された。近年TaxはATL細胞において一過性の発現を繰り返すという報告があり、Tax標的ワクチンの有用性について再評価されている。今後はTaxwを標的としたワクチン開発を行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
HLA-A2発現マウスはマックスプランク研究室より入手した。今後はTaxトランスジェニックマウスとHLA-A2発現マウスの交配により、HLA-A2拘束性TaxCTLの検出をマウスで行い、その誘導を増強するアジュバントを検証する。
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