2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K09487
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
奥田 司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30291587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 達士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80315936)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 転写因子 / 白血病 / RUNX1 / 染色体転座 / CBFB / 転写コファクター |
Outline of Annual Research Achievements |
造血系転写因子であり、ヒト白血病において高頻度に遺伝子変異の標的となるRUNX1は、じっさいには多くの転写コファクター分子群と協調のうえで機能している。また、この遺伝子の片アレル欠失によって機能低下している家系では血小板の異常や白血病発症リスクが増大することが知られる。当該研究ではRUNX1の翻訳後修飾の影響や、その機能調節に関わる新たな会合分子の探索を行なっている。今年度は、酵母ツーハイブリッド法による探索によって見出された複数の候補会合分子について検討を進め、そのうちのひとつ(暫定的にここでは"CRP1"と呼ぶ)をプラスミドベクターによって強制発現させると、RUNX1と共沈降が観察されることを見出した。すなわち、酵母細胞内だけではなく、この分子は哺乳動物細胞内でも確かにRUNX1と会合していることが確認できた。レポーターアッセイによって検討を進めたところ、CRP1は、RUNX1による既知標的遺伝子群の転写を阻害する働きを有していた。CRP1は細胞質内と核内のいずれにも局在し、その発現によってRUNX1の局在を変化させるものではなかった。しかしながら、CRP1はRUNX1のDNA結合を阻害することを見出し、いまのところ、このメカニズムによってRUNX1機能を負へ調節しているものと考察している。現在、in vivoでの作用や、CRP1とRUNX1との会合に影響を与える薬剤の探索などの準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通りRUNX1の新たな会合分子を複数見出すことができ、また、酵母細胞内のみならず、哺乳細胞内でも会合していることを確認できたことから、ここまでのところ順調に計画が進行しているものと考えている。また、RUNX1の作用を負の方向へ制御しているものを見出せたことは、今後、この会合を調節する分子標的薬の開発へと研究を進めることができるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、CRP1とRUNX1との会合がどのような生化学的特性を持つのか検討を進める。ここでは互いの分子のどのサブドメインを通じて結合しているのか、また、この会合に影響を与える化学的条件はどのようなものかなどについて検討したい。同時にこの会合がどのような生理的意義を持つのかについての解明も試みたい。ここでは動物個体レベルでの検討を、遺伝子改変やノックダウンの系をもちいてアプローチを試みたい。くわえて、RUNX1とCRP1との会合を制御する薬剤の探索をどのようにして行なうか、その準備を進めたいと考えている。
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