2017 Fiscal Year Annual Research Report
LSD1 overexpression contributes to the development of pre-leukemic stem cells of lymphoid origin.
Project/Area Number |
15K09488
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
和田 妙子 自治医科大学, 医学部, 助教 (30382956)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒストン脱メチル化酵素 / 全白血病幹細胞 / ゲノム不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
LSD1はヒストンH3-K4およびK9を脱メチル化して遺伝子発現を調節する。LSD1は白血病化した細胞株で強発現していることは報告されているが、白血病化における役割は充分に解明されていない。申請者らは、造血幹・前駆細胞にLSD1を強発現するトランスジェニック・マウスを作製したところ、一見正常であるが放射線を照射することで早期かつ高頻度にT細胞性リンパ芽球性リンパ腫・白血病を発症した。これらより、LSD1の発現異常が前白血病幹細胞の形成に関与すると考え、研究を行った。 まず、LSD1トランスジェニック・マウスに放射線照射以外の白血病に多く見られる遺伝子異常(P53およびBCR/ABR)を2次的遺伝子異常として付加し、白血病の発症とそのタイプを確認した。BCR/ABL融合遺伝子を有するトランスジェニック・マウスとの交配では、LSD1強発現により骨髄性白血病は発症しなかった。また、T細胞に特有なCD3の発現が亢進しているものの、B細胞性白血病のみを発症し、腫瘍細胞の系列決定には至らなかった。しかしながら、p53+/-マウスとの交配実験では、LSD1はp53およびその下流の遺伝子p21やNoxaの発現を低下させ、ゲノムの不安定性を惹起していると考えられた。 そこで、最終年度は、LSD1がゲノム不安定性を惹起するメカニズムの解明に着手した。その結果、LSD1はp53のプロモーターに結合し、ヒストンH3-K4の脱メチル化を介してp53の発現を抑制することを確認した。実際に、LSD1を強発現するマウス造血前駆細胞に薬剤によりDNA損傷を与えると、コントロールと異なり、DNA損傷に応答したp53の発現上昇がみられなかった。 以上の事から、LSD1の強発現はゲノムの不安定性を惹起し、リンパ球系前白血病幹細胞の形成に寄与していることが分かった。
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