2016 Fiscal Year Research-status Report
同種骨髄移植後の新規免疫モニタリングシステムと免疫寛容メカニズムの解明
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15K09493
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
錦井 秀和 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30512834)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移植片対宿主病 / 制御性T細胞 / TNFRSF25 / 造血幹細胞ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に引き続き、マウス同種移植モデルを用いてTNFRSF25-Agonistic 抗体を用いた急性GVHDにおけるTNFRSF25シグナルの役割に重点をおき研究を行い、論文発表を行った。 1. 前年度の研究でドナーマウスにTNFRSF25抗体を投与すると、Foxp3陽性TregがIn vivoでExpandし、マウスから採取したT細胞はをレシピエントマウスに投与すると、致死的なGVHD反応はExpandしたTregにより有意に抑制される一方、ドナーT細胞の抗腫瘍効果は担保される事が分かった(Kim and Nishikii et al. Blood 2015). 2. 一方レシピエントマウスにTNFRSF25抗体を投与した場合は、ドナー治療モデルと異なった結果が得られた。TNFRSF25は定常状態では有意にTregに高頻度で発現しているのに対して、炎症もしくはT細胞活性化時には、Tregにおける発現は低下し、むしろFoxp3陰性CD4T細胞での発現が上昇する。その結果ドナーT細胞を投与してGVHDを誘導したマウスにTNFRSF25抗体を投与すると、むしろGVHDが誘導された。GVHDを誘導する前に抗体を投与するとレシピエント由来のTregが増加し、GVHDの重症度は軽減された事を考慮すると、T細胞の活性化状態に依存しTNFSF25シグナルは、異なる免疫調節作用を持つと考えられた( Nishikii and Kim et al. Blood 2016). 3. Foxp3-DTRマウスを用いてレシピエント由来のTregと同種移植後の造血再構築に関する実験モデルを解析した。ジフテリアトキシン投与により実験的にTregを除去したマウスでは、正常な骨髄細胞を移植してもB細胞構築が有意に遅延する事が明らかとなり、この原因は骨髄内で活性化したT細胞がB細胞分化に必要な造血環境の障害を惹起する為である事が明らかとなった( Pierini and Nishikii et al. Nature Communications 2017, in press).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者検体の解析は進行できておらず、ヒトTNFRSF25抗体によるヒトTregの増幅に関する研究も共同研究先を行っているが、良好な結果は得られていない状況である。 CYTOFの代わりにMulticolor解析による移植後モニタリング解析の一部はBlood 2016に発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト検体に関しては、サンプル間の相違も大きく、安定した結果を得るのが難しい状況である。 FACSデータを基にしたモニタリングシステムの構築を試みる。
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