2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K09501
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
門脇 則光 香川大学, 医学部, 教授 (60324620)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 造血器腫瘍 / ウイルス療法 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血器腫瘍に対するHSV-1ウイルス療法の臨床応用を目指し、造血器腫瘍細胞株を対象に、G47Δと同様の遺伝子改変を施したHSV-1であるT-01の感染と殺細胞効果の有無を調べたところ、14種類の造血器腫瘍細胞株中10細胞株で直接的な殺細胞効果を示し、T-01が感染し死滅した腫瘍細胞が、共存する樹状細胞の活性化・成熟を誘導した。さらに、感受性細胞と抵抗性細胞の違いを明らかにするために、細胞株上のHSV-1レセプターの発現レベル、GFP導入HSV-1のエントリー量、殺細胞効果の三者の定量的相関、およびHSV-1レセプターnectin-1のノックダウン細胞におけるHSV-1のエントリー量を調べた。感染後の複製を左右する因子として、細胞内抗ウイルス分子cGAS-STING経路、PKR-eIF2 alpha経路の発現や、IFN-beta産生能と殺細胞効果の相関を検討した。また、臨床検体を対象にしたT-01の殺細胞効果の有無を調べた。その結果、nectin-1の発現レベル、HSV-1のエントリー量、殺細胞効果の三者に定量的な正の相関関係がみられ、これに一致してnectin-1のノックダウン細胞においてHSV-1のエントリー量が減少した。一方、HSV-1レセプターHVEMの発現レベルとHSV-1のエントリー量に相関はみられなかった。また、cGAS-STING経路、PKR-eIF2 alpha経路の発現やIFN-beta産生能と殺細胞効果にも相関はみられなかった。 以上より、造血器腫瘍におけるHSV-1の殺細胞効果は、nectin-1を介したエントリーに強く規定されると考えられ、nectin-1の発現が有効性のバイオマーカーになることが示唆された。一方、腫瘍細胞自体の抗ウイルス免疫機構は殺細胞効果に大きな影響を与えないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年4月に研究代表者が京都大学から香川大学に異動し、27年度は大学院生が香川大学に帯同しなかったため、研究の進捗が当初の予定より遅れたが、28年度に合流した大学院生の頑張りによりその後研究が進み、当初の予定の8割方終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた残りの実験として、免疫不全マウス、MyD88ノックアウトマウス、IFN-alpha/beta receptorノックアウトマウスを用い、in vivoにおけるT-01の抗腫瘍効果を示すとともに、その効果におけるTLRからIFN-alpha/beta産生に至る経路の役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年4月に研究代表者が京都大学から香川大学に異動し、27年度は大学院生が香川大学に帯同しなかったため、多くの研究費用が旧所属先の京都大学でまかなわれた。それにより未使用研究費が生じた影響で、以降残額が生じた。
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Research Products
(5 results)