2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09502
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 康敬 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (30533848)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 純一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80464246)
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 発作性夜間ヘモグロビン尿症 / PNH / 補体 / 溶血性貧血 / 抗補体薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)における補体による血管内溶血を、補体C5に対するモノクローナル抗体であるエクリズマブは、極めて有効にこれを阻止する。しかし、遺伝子多型によるエクリズマブ不応が存在することや、エクリズマブの効果が不十分な症例があり、現在様々な新規抗補体薬が開発中にある。これらの新規薬剤が実際にエクリズマブ不応例に効果があるのかを検証し、複雑な補体系の解明に繋げるのが本研究の目的である。本年度はまず、新規抗補体薬のうち抗C5薬としてCoversin (Akari社)、RA101348 (RaPharma社)、Factor D阻害薬としてACH-4100(Achillion社)を、C1阻害薬として乾燥濃縮ヒトC1-インアクチベーター製剤(Berinert®, CSL Behring社)を、C3阻害薬としてCompstatinを入手した。C8、C9アプタマーに関しては、これらを作製した。補体の活性化経路は抗原・抗体反応を起点としたclassical pathway、微生物の細胞表面に存在するレクチン・マンナンを起点としたlectin pathway、補体成分C3の加水分解により起こるalternative pathwayの3つが知られている。新規抗補体薬により、どのpathwayが影響を受けるかを詳細に解析するため、各pathway特異的な評価方法の樹立に向けて取り組んでいる。またこれらの新規抗補体薬の溶血阻止効果を検討するために、試験管内で補体溶血を再現する酸性化血清溶血試験を確立し、健常者、PNH患者のサンプルを用いて検討を行った。また、エクリズマブ投与中の患者において血管外溶血の原因となる、赤血球上のC3について、FACSを用いた計測系を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに新規抗補体薬として抗C5薬としてCoversin (Akari社)、RA101348 (RaPharma社)を2種、Factor D阻害薬としてACH-4100(Achillion社)を、C1阻害薬として乾燥濃縮ヒトC1-インアクチベーター製剤(Berinert®, CSL Behring)を、C3阻害薬としてCompstatinを入手した。C8、C9アプタマーに関しては、これらを作製した。補体活性化経路(classical pathway、alternative pathway, lectin pathway)のうち、PNHにおける新規抗補体薬の候補はclassical pathway、alternative pathwayに影響する。そこで、各新規抗補体薬が生体内でどの経路にどのように影響を与えるかを評価するため、classical pathway、alternative pathwayについて評価系の樹立を試みた。健常人の血清と各抗補体薬を用いたin vitroの実験では、それぞれの補体経路が各抗補体薬によりblockされることが示され、この評価系が機能することが示された。今後更に詳細に抗補体薬を評価する系の確立に取り組む予定である。試験管内で補体溶血を再現する酸性化血清溶血試験を確立し、de novo PNH患者の血球、血清を用いて新規抗補体薬の効果を検証した。Coversin、RA101348、ACH-4100、乾燥濃縮ヒトC1-インアクチベーター製剤、Compstatinの何れもがde novo PNH患者サンプルにおいて溶血阻止効果を認めた。Coversinにおいては、エクリズマブ不応例の血清を用いて酸性化血清溶血試験を行ったところ、溶血阻止効果を認め、その成果を第57回アメリカ血液学会(フロリダ)で発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在入手分に加え、新たに新規抗補体薬を入手する。複数のソリリス不応例の患者検体を用い、これらの新規抗補体薬がin vitroで溶血阻止作用があるのかを評価する。また、それぞれの新規抗補体薬が、各補体pathwayにどのような影響を与えるのかを、健常者検体、de novo PNH患者検体、ソリリス不応例それぞれを用いて、詳細に評価する経路を樹立する。
|
-
-
-
-
[Book] 中山書店2015
Author(s)
植田 康敬、西村 純一 (金倉 譲編)
Total Pages
560 (180-185)
Publisher
最新ガイドライン準拠 血液疾患 診断・治療指針
-
-