2015 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの治療前に患者個別に有効なバイオ製剤を選択し得るマーカーの探索
Project/Area Number |
15K09524
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉崎 和幸 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (90144485)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | バイオマーカー / 治療効果予測 / 関節リウマチ / トシリズマブ |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチの治療は生物学的製剤の出現で有効性が示されているが、個人毎の治療効果を治療前に予知することは困難である。本研究においては、関節リウマチの病態機序およびサイトカイン阻害機序に基づいたバイオマーカーを探索し、実用性のある、簡便で廉価で、どの施設でも測定でき、治療前に効果を高精度で予測できるマーカーを探索し、患者個別にバイオ製剤を選択可能とすることを目的とした。我々は既にTNF-aの作用における可溶性TNF-aエセプター(sTNF-aR)、特にsTNF-aRIIは抗炎症効果を示し、IL-6における可溶性IL-6(sIL-6R)および可溶性gp130(sgp130)のIL-6による作用解析からsgp130がnatural IL-6 inhibitorであることを示し、これらの可溶性因子が治療効果に関与することをin vitroで明らかにしている(未発表)。従って、今回特に可溶性受容体を測定に組み込むことで新しい知見が得られるものと期待し、sgp130を含む31のバイオマーカーを測定した。その結果から16週後の治療効果(DAS28-CRP)との相関性を検討した。なお、治療はIL-6阻害のトシリズマブとTNF-a阻害のエンブレルを用いた。その結果、トシリズマブの場合、sgp130を含む数種のバイオマーカーによって80-70%の確立で治療前に治療後のDAS28値の予測が可能であることを示した。また、エンブレルの場合、TNF-aRを含む2-3種のマーカーで予測が可能であるが、その確率は25%と低かった(PLoS One,Jul 15;10(7),2015)。この結果を確実なものとするために別施設の患者を対象とし、現在患者の選択を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①予備研究で得られた予測マーカー群以上に確率高く予測可能なマーカーを推定するため、従来用いたBio-Rad社のbio-Plex27以外で可溶性受容体を多く含んだ新しく開発された炎症キットを測定に選んだ。 ②慶應義塾大学との共同研究のため、慶應義塾大学の倫理委員会に申請し審査中である ③慶應義塾大学医学部膠原病・リウマチ内科受診中の患者から対象患者を選出している。トシリズマブ治療、またはインフリキシマブ治療の開始前に保存血清があり、24週後の臨床データーを有している患者を対象とする。
|
Strategy for Future Research Activity |
①新キットを選定する。②対象患者を100名とし、患者を特定する。③共同研究先の慶應義塾大学倫理委員会の承認後、患者の血清サンプル中のバイオマーカーを測定する。④24週後の関節評価が得られた患者を対象とし、観察研究を終了後、統計学的にバイオマーカーと治療効果(DAS28, C-DAI,s-DAI)との関連性を検討する。⑤Multiple linear analysis, Multiple logistic analysisによる統計解析にて効果予測マーカーを特定する。⑥上記で得られた特定マーカー群によるDAS28, C-DAI,s-DAI予測値を求める計算式を得る。⑦続いて、前向き研究を開始する。治療前の患者血清を用いて特定したバイオマーカーを測定し、その結果を計算式にあてはめ予測効果値を求める。この予測値と24週後の実測効果値との一致率を求め、前述の後向き研究の確実さを検証する。⑧前向き研究の対象患者は、トシリズマブまたはインフリキシマブ患者とする。
|