2017 Fiscal Year Annual Research Report
The influence of smoking on biologics treatment in rheumatoid arthritis and its possible molecular mechanism.
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15K09544
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Research Institution | National Hospital Organization Osaka-Minami Medical Center |
Principal Investigator |
佐伯 行彦 独立行政法人国立病院機構(大阪南医療センター臨床研究部), 臨床研究部, 部長 (40240840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / TNF阻害薬 / 喫煙 / NF-kB / AhR / クロストーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主に2つのことを明らかにした。まず、本邦における最大級の国立病院機構(NHO)の主導で構築した関節リウマチ(RA)の臨床データベース(NinJa)を用いて、生物学的製剤の治療効果における喫煙の影響を治療標的別(TNF阻害薬、IL-6阻害薬、T細胞阻害薬)に多変量ロジステイック解析を行いオッズ比で検討した。その結果、喫煙は、とくにTNF阻害薬において効果不十分による治療中断を有意に増加させることが分かった(喫煙群vs非喫煙群:OR 2.189, 95%CI 1.305~3.672, P=0.003)。他の治療標的(IL-6阻害薬、T細胞阻害薬)ではこのような傾向はみられなかった。このことから、喫煙がTNF阻害薬の効果減弱に影響していることが示唆された。一方、これまでに、喫煙含有物がダイオキシンレセプター(AhR)を介して、NF-kBを活性化し、IL-1bやIL-6などの炎症性サイトカインを誘導することが報告されていたが、本研究でのRA患者由来の滑膜細胞株(MH7A)を用いたin vitroの実験により、TNFaによるNF-kBの活性化、それに続く炎症性サイトカインの産生誘導が喫煙含有物の添加により増幅されることが実証された。この増幅はNF-kB阻害薬で抑止されたことから、TNFaと喫煙(AhR)シグナルの間には、NF-kB活性化においてクロストークがあることが示唆された。また、喫煙によるTNF阻害薬の治療抵抗性の原因(メカニズム)のひとつと考えられた。これらの成果は、さらなる分子メカニズムの解析により、RAの病態機構の解明や新たな治療標的の開発に役立つことが考えらえる。
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Research Products
(1 results)