2015 Fiscal Year Research-status Report
概日時計がスギ花粉症舌下免疫療法の効果に及ぼす影響
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15K09548
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中村 勇規 山梨大学, 総合研究部, 講師 (90580465)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アレルギー / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルゲン特異的免疫療法(Allergen specific Immunotherapy:AIT)のメカニズムについての研究が多方面から進展中であるが、AITを施行する時間が,その治療効果に与える影響についての情報はほとんど得られていない。本研究では、スギ花粉症におけるAIT(舌下免疫療法)に概日時計がどのように影響するかを解明することを目的にし、検証を行った。 まず初めに、適切なスギ花粉症のマウスモデルが未だ確立されていないため、スギ花粉症状様アレルギーマウス(鼻炎モデル)の作製に着手した。特にC57BL/6マウスを用いたスギ花粉症モデルの報告は皆無であるが、遺伝子改変マウスを用いることを考慮し、C57BL/6マウスを用いたスギ花粉症モデルの作製を試みた。しかしながら、C57BL/6マウスでのスギ花粉症モデルの作製が困難であったため、これまでに報告されているBALB/cマウスでモデルを作製し、朝10時と夜10時にAITを行い治療効果に違いがあるか否か検討した。その結果、血中スギ花粉特異的IgEの減少、IgG2aの増加に違いが認められ、AIT施行時間によって効果の違いが確認できた。 これらの結果からAITの効果に概日時計が関係していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたC57BL/6マウスを用いた、スギ花粉症マウスモデルの作製は困難だったためBALB/cマウスを用いることになったが、スギ花粉症状様アレルギーモデルマウス作製に成功し、AITの施行時間によって効果が異なることが確認できたため、概日時計によるAITの治療化効果に違いがあることを示唆することができた。また、BALB/c系の遺伝子改変マウスの入手も達成できてたことも踏まえると、おおむね順調に進展してると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.AIT効果を最適化するスギアレルゲンエキス舌下投与時間についての解析 上述したように、AITの施行時間によって治療効果が異なることが確認できているが、その詳細が不明である。そこで、上述したスギ花粉症様モデルマウスを用いて、朝10時あるいは夜の10時に精製スギ花粉を2週間連続して舌下投与を行う。対照群としてPBS舌下投与群を用意する。最終感作2週間後から精製スギ花粉で鼻腔投与(チャレンジ)を行い、精製スギ花粉舌下投与の時間によるスギに対する免疫寛容(トレランス)の誘導効果について比較解析する。パラメーターとしては症状スコア(鼻ひっかき行動、くしゃみ回数のカウント)、鼻粘膜好酸球数・マスト細胞数(病理標本の染色)、頚部リンパ節リンパ球の精製スギ花粉に対する反応性(IL-4, IL-5, IL-10, IL-13, TGF-β産生をELISA法で測定)、頚部リンパ節中のFoxp3陽性制御性T細胞(制御性T細胞)数(フローサイトメーター)、血中スギ花粉特異的IgE(ELISA法)等を用いる。 2.時計遺伝子Clock変異マウスでの検討 同様の検討をBALB/c系統の時計遺伝子Clock変異マウスを用いて行い、精製スギ花粉舌下投与の施行時間によるAITの効果の差が時計遺伝子に依存するものであるか否かについて検討する。
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Causes of Carryover |
研究の遂行にあたり予想以上に順調に進められたことと、当初予定していた消耗品(物品費)の価格が業者との交渉により、一部購入経費の削減が可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しとなった研究費は、当初の研究費とあわせて消耗品(物品費)購入のための支出にあてる予定である。
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