2015 Fiscal Year Research-status Report
結核菌抗原による形質細胞様樹状細胞の活性化を介する新しい結核防御免疫機構の解明
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15K09565
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 史子 福井大学, 医学部, 特命助教 (80291376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 一郎 福井大学, 医学部, 教授 (20272908)
西山 晃史 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80452069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結核 / CpGオリゴDNA / 形質細胞様樹状細胞 / 骨髄系樹状細胞 / 共刺激分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
BCG DNAを模倣する天然型パリンドローム様CpGオリゴDNAである「G9.1」は形質細胞様樹状細胞(pDC)を活性化する。一方、増殖期および休止(潜在)期の結核菌が持続的に発現するDNA結合性タンパク質抗原である Mycobacterial DNA-binding protein1「MDP1」は、G9.1によるpDCの活性化に対して増強作用を示す。結核菌におけるMDP1抗原とCpG オリゴDNAが結核防御免疫の成立にどのように関わるかを明らかにするため、平成27年度は次の2点について検討した。 まず、免疫反応の誘導におけるG9.1とMDP1の組み合わせの影響を検討するため、ヒト末梢血単核球(PBMC)を、様々な比率で混合したG9.1・MDP1と培養し、培養液中のサイトカイン濃度を測定した。pDCの活性化とTh1細胞への分化を、それぞれ、IFN-αとIFN-γを指標として解析したところ、G9.1により誘導されるIFN-αの産生ならびにMDP1により誘導されるIFN-γの産生は、それぞれ、MDP1またはG9.1を組み合わせて培養すると増強されることが示された。増強の程度はG9.1とMDP1の混合比により異なったが、最大作用を示す混合比は、IFN-α産生、IFN-γ産生のいずれにおいても同一範囲にあった。これらのことから、G9.1とMDP1は、それぞれがもつ免疫反応誘導活性を相互に増強すること、この作用にはG9.1とMDP1の混合比が重要であることが示された。 次に、多重染色したPBMCをFACS解析し、pDCおよび骨髄系樹状細胞(mDC)の共刺激分子(CD80/CD86)の発現に対するG9.1とMDP1の作用について検討した。その結果、G9.1とMDP1はそれぞれ単独でpDCとmDCのいずれにも分化・成熟を誘導することが示された。G9.1とMDP1の組み合わせによる発現変化については検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pDC活性化とTh1免疫の誘導にG9.1とMDP1の混合比が重要に関与することが、多くのヒト末梢血データに基づく解析結果により示された。樹状細胞の分化・成熟の誘導については、新たに興味深い知見が得られたため、解析対象を共刺激分子以外にも広げて検討を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
G9.1とMDP1の組み合わせにより誘導される樹状細胞ならびにリンパ球の分化・成熟を詳細に解析し、新しい結核防御免疫のメカニズム解明へ繋げたいと考えている。
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Research Products
(2 results)