2017 Fiscal Year Research-status Report
ペニシリン低感受性B群レンサ球菌の病原性に関わる莢膜多糖体の血清型変化事象の解明
Project/Area Number |
15K09566
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長野 則之 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (00747371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小穴 こず枝 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (60115334)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | B群レンサ球菌 / 薬剤耐性 / PRGBS / 莢膜多糖体遺伝子クラスター / 血清型 / CTBrPSGBS |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児及び高齢者の重篤感染症治療の第一選択薬であるペニシリン系薬に低感受性を示すB群レンサ球菌(PRGBS)株が、同一医療機関でST1に属しながらも莢膜多糖体血清型の経時的な変化をみせた。流行初期の血清型IIIの株と変遷後のIaの株はいずれもST1に属し、ペニシリン結合蛋白 (PBPs)に共通のアミノ酸置換が見られた。さらにドラフトゲノム配列から莢膜多糖体遺伝子クラスターとその上流、下流を含む約50 kb領域は、血清型特異的cpsG-cpsH領域、IIIの株のcpsY上流のhylBへのIS1548挿入、Iaの株のneuA下流のISsag8挿入を除き高い配列類似性を示した。また、この50 kb領域の少なくとも20 kb上流、下流の配列が>99%一致し、残りのゲノム配列の広域的な類似性も認められた。病原因子の保有プロファイルも一致していた。以上の知見から、血清型IIIからIaへの莢膜スイッチングがPRGBS ST1クローン内で起こり、この事象は莢膜多糖体遺伝子クラスターを含む50 kb領域の置換によるものと考えられる。本知見でみられたPRGBSにおける莢膜スイッチング事象は、本菌の院内流行を背景に、保菌患者の抗莢膜抗体などの免疫圧や抗菌薬選択圧により誘発されたとも推測されるが、出現したIaの株は機能遺伝子hylBを有しており予後不良例との関連性が注目された (論文作成中)。 また、PRGBS株とセフチブテン耐性ペニシリン感性GBS (CTBrPSGBS)株の関連性を調べる目的で実施した各種β-ラクタム剤による耐性株のin vitro選択実験では、β-ラクタム分子の選択圧の違いによりPRGBS株あるいはCTBrPSGBS株が得られることを明らかにした (論文投稿中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者のその他の業務の多忙により論文の作成、投稿業務に遅れが生じたため
|
Strategy for Future Research Activity |
上述の医療機関で血清型IIIの株とIaの株の中間で出現したST1の血清型IbのPRGBS株及びセフチブテン耐性ペニシリン感性GBS(CTBrPSGBS)の次世代シ-クエンス解析により取得したドラフトゲノムについて配列比較解析を実施している。その結果に基づき論文を作成し投稿する。 莢膜スイッチング事象の解析に関する論文の作成を完了し投稿する。
|
Research Products
(7 results)
-
-
[Presentation] β-ラクタム系薬選択圧下におけるB群レンサ球菌のβ-ラクタム系薬耐性化への実験的考察2018
Author(s)
小出将太, 小坂駿介, 大崎裕介, 谷口唯, 林 航, 前山佳彦, 小穴こず枝, 木村幸司, 長野由紀子, 荒川宜親, 長野則之.
Organizer
第29回日本臨床微生物学会総会・学術集会
-
-
-
-
-