2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the Intestinal Microbiota in Liver Transplantation.
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15K09567
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長尾 美紀 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80523993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一山 智 京都大学, 医学研究科, 教授 (30223118)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腸内細菌巣 / 肝移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢は様々な病態に関与している一方で抗生剤や手術、免疫抑制剤、栄養療法などの影響を直接的・間接的にうけている。移植領域では急性拒絶や術後感染症との関連が示唆されているが、固形臓器移植症例での解析事例は少ない。本研究では肝移植患者の周術期における腸内細菌叢について解析した。対象症例は、2013-2014年に京都大学医学部附属病院で肝移植を受けた成人レシピエントとした。対象患者の便を継時的に採取し次世代シークエンサーを用いて16SrRNAメタゲノム解析を行った。データはQIIMEを用いて処理した。サンプルごとのシャノン・ウィーナーの多様度指数(SDI: Shannon Diversity Index)を算出し、腸内細菌叢の構成とSDIについて移植前後ならびに急性拒絶群と非拒絶群で比較した。更に退院時の腸内細菌叢とその後の合併症の関連についても調べた。 40名計352検体のサンプルを解析した。患者の基礎疾患はウイルス性肝炎が最も多く(15/40 37.5%)急性拒絶は25例であった。移植直後のSDIは増加しており(多様性が高い)、菌種の内訳ではLachnospira やBlautia が減少、Enterobacteriaceaeが増加傾向であった。急性拒絶群では非拒絶群に比べてSDIが低下しBacteroidesやEnterobacteriaceaeが占める割合が高いことがわかった。また、退院後に腹腔内感染症を発症した患者と発症していない患者で比較すると、退院時のSDIが高い患者のほうが、退院後の腹腔内感染症の頻度が低いことがわかった。 本研究により、肝移植後早期は、腸内細菌叢の多様性は維持されていたもののpotential pathogenであるEnterobacteriaceae が増加傾向であった。拒絶群の腸内細菌叢は非拒絶群よりEnterobacteriaceaeが多いことを考慮すると、腸内細菌叢の構成(=質)が重要であると考えられた。また退院後の腹腔内感染症の予防にも腸内細菌叢は診療介入のターゲットとなりうることが示唆された。
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