2018 Fiscal Year Research-status Report
誘導γδT細胞を用いたがん化学療法腸管免疫療法の開発
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15K09570
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
今滝 修 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60437697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 麻希子 香川大学, 医学部, 助教 (00710188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | γδT細胞 / 細胞免疫療法 / がん化学療法 / 自然免疫 / 腫瘍免疫 / 感染症 / 免疫不全 / 日和見感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液悪性腫瘍性疾患に対してがん化学療法中の患者を対象にして、骨髄液や末梢血からγδ細胞を抽出し、そのγδ細胞の細胞生物学的な特徴を確認した。実臨床に用いるレベルでのγδ細胞の誘導は困難であったことから、初発時の骨髄液や末梢血のγδ細胞割合とその後の臨床的アウトカムを、当院で治療中の血液疾患症例を用いて前向きに検討した。 症例は2014年1月から2016年12月までの2年間に血液疾患のために当院で骨髄液や腫瘍組織中の細胞表面マーカー検索を実施した症例277例。全症例277例中、女性119例、男性158例で、年齢の中央値は58歳(1~93歳)であった。基礎疾患の別では、全症例中血液悪性腫瘍性疾患ありが167例(60.2%)、なしが110例(39.8%)であり、血液悪性腫瘍性疾患なしの症例群をコントロール群として以下の解析をすすめた。全症例156例(骨髄液66例、腫瘍組織90例)において、観察期間内の死亡イベントは20例(12.8%)であり、骨髄液群と腫瘍組織群にそれぞれ10例ずつであった。血液腫瘍性疾患において骨髄液中と腫瘍組織中のリンパ球分画の割合が生存に及ぼす影響を多変量解析で比較したところ、腫瘍細胞中のリンパ球分画のうち、ヘルパーT細胞とB細胞が有意に生存に影響していた(それぞれP=0.0243,0.0143)。 最終年度においては口腔内細菌叢および腸管内細菌叢のメタゲノム解析を行い、プレバイオティクスとプロバイオティクスが腸管免疫や宿主免疫に与える影響を解析した。まだプレリミナリーな段階であるが、歯科衛生学的な口腔内清掃後の唾液細菌叢を診ると、Saccharibacteria菌の割合が増加し、乳酸菌製剤の投与によってそれが維持されることが判明した。Saccharibacteria菌は環境中にも存在する口腔内常在菌であり、いわゆる乳酸菌の一種であるが、その生態についてはまだ十分判明していない。本菌が優位に存在することで、口腔内清潔環境が維持される可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな研究課題である腸内細菌叢のメタゲノム解析の結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において得られた口腔内細菌叢および腸管内細菌叢のメタゲノム解析の結果を補完し、プレバイオティクスとプロバイオティクスが腸管免疫や宿主免疫に与える影響についてのまとめを報告する。
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Causes of Carryover |
追加研究結果を含めて最終年度での報告を予定している。
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Research Products
(8 results)