2017 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期の呼吸器感染症にみられる病原体干渉の解明:ベトナム中南部出生コホート研究
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15K09571
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 基 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (60444874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 レイミント 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90432963)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 呼吸器ウイルス / ライノウイルス / アデノウイルス / RSウイルス / ヒトメタニューモウイルス / 小児感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児期の呼吸器感染症は、もっとも発生頻度が高い小児の疾患であり、その主な病原体として複数種類の細菌、約20種類のウイルスが関与していることが知られる。これまでの研究により、個々の病原体の病原性とその特性の違いについては知見が蓄積されつつあるが、複数の呼吸器病原体の相互干渉については、その現象の存在、メカニズムについて解明されていない。 本研究では、研究代表者および研究分担者のグループがベトナム中部都市ニャチャン市で実施している出生コホート及び小児呼吸器感染症サーベイランスのシステムを活用し、呼吸器感染症患者コホートを構築した。1941人の2歳未満小児の呼吸器感染症コホートを5年間追跡した。登録時点で1254人(65%)が少なくとも1種類の呼吸器ウイルスに感染しており、最も多いウイルスはライノウイルスであった。6か月未満にウイルス性呼吸器感染症で入院すると、非ウイルス性呼吸器感染症に対して1.6倍、呼吸器感染症による再入院のリスクが上昇することが明らかとなった。特にアデノウイルス(4.6倍)、ヒトメタニューモウイルス(20.4倍)、ライノウイルス(1.6倍)が再入院リスクと強く関係していた。一方で、6か月以降の感染については、再入院リスクとの関係は確認されなかった。 本研究の結果は、今後の小児呼吸器感染症ワクチン戦略を考えるうえで重要な知見である。現在開発中のRSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどに対するワクチンの効果については、多元的な評価が必要であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画どおり、コホートを構築し、目的とした呼吸器ウイルス感染症の相互干渉について知見を確立することができた。しかし、収集したデータの解析と論文の作成に手間取ったため、総合的にやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、投稿論文の結果を用いて、簡易な数理モデルを用いたシミュレーションを行い、ウイルス干渉が呼吸器ウイルスワクチンの導入に及ぼす影響を評価する計画である。
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Causes of Carryover |
(理由) 論文の投稿、掲載が遅れたことにより、2次解析の開始、また現地研究機関への成果報告が遅れた。 (使用計画) これまでの研究成果を現地研究機関に還元するため、旅費として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)