2016 Fiscal Year Research-status Report
HIV-1 Capsid蛋白の自己崩壊を誘導する、新規Capsid阻害剤の開発
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15K09574
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
天野 将之 熊本大学, 医学部附属病院, 研究員 (30575080)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | HIV-1 Capsid 蛋白 (CA) / 蛋白自己崩壊 / 新規薬剤開発 / HIV-1構造蛋白阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は挿入変異によるHIV-1の構造学的特性の変容について詳細な検討を行っており、Capsid構造蛋白(CA)における特定部位に挿入変異を導入したHIV株においてCAの著明な自己崩壊(自壊)が起こる事を確認、この結果より特定部位に挿入変異を有するCA蛋白を分解の方向に進ませる何らかの機序の存在が示唆され、そのような変異株は複製能が著しく低下・欠損し、単独発現させた挿入変異CAにおいても著しい自壊を認める事等をこれまでに解明してきた。我々は本現象の解析を起点とし、挿入変異が入る事によってCAの自壊を引き起こすCAの特定部位へ強固に結合する化合物が存在すれば、同様の現象を誘発し得ると仮説を立て、そのような化合物の検索を精力的に行っている。本研究はHIV-1 CAの成熟化を阻害し分解方向へ進める、これまで報告の無い新規HIV-1複製阻害物質の同定・開発を目指すものである。詳細な結晶構造データを解析する事で、CAの挿入変異により自壊を来たす特定部位近傍の蛋白表面に低分子化合物が結合し得る充分な空間を有する疎水性cavityを同定、同cavityを標的としたin silico flexible docking simulationの手法を用いて、800万超の化合物データよりHIV-1 CA阻害という新たな機序でHIV-1の増殖を抑制し得る化合物の検索を行う事により、試験管内でHIV-1増殖阻害活性を有する50種類以上の化合物(hit化合物)群を新たに発見した。更に発見したhit化合物について、CAの自壊を誘導し得るか検討する為、CAを単独で強制発現させた細胞もしくはHIV-1強制発現細胞より cell/virion lysatesを作成し、hit化合物を加えて定温静置した場合におけるCAおよびHIVの経時的変化を評価したところ、3化合物において著明なCA自壊を誘導する事を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同定した化合物群はHIV-1のみならず、HIV-2のCAに対しても著明な自壊誘導活性を有することが判った。また、細胞にHIV-1を強制発現させた後に得られたウイルス上清を超遠心し培養上清を吸引除去する事によりウイルス以外の細胞成分を完全に排除し作成したvirion lysateにおいても、同定したCA自壊誘導化合物群(CA decomposers)は著明なCA自壊誘導活性を維持し本現象に細胞側の蛋白分解機構は関与していない事が示唆された。また、同様の手法で作成したウイルス浮遊液(超遠心後のvirion pelletを、PBSで懸濁したもの)を化合物群と共培養したところ、virion lysatesにおける結果と同様に、ウイルス浮遊液においても本化合物群はCA自壊を誘導し得る事が判明した。更に化合物に暴露したウイルス浮遊液中のHIV-1は、著明な形態変化を来すことが電子顕微鏡による検討において明らかになった。これらの結果より、我々が新たに同定したCA自壊誘導化合物群は、細胞からHIV-1が出芽する前後での異なった段階(細胞内もしくは出芽後の成熟したHIV-1 virion内部)においてCAに作用し自己崩壊を誘導し得る事が示唆された。構造の一部をtruncateした変異CAを用いた実験により、これら化合物群はCAのN末端側に結合している事が示唆された。化合物のCAへの詳細な結合様式を評価する目的で、野生型CAと化合物の共結晶解析を進めている。また同定したCA自壊誘導化合物の構造を基にして、構造最適化のために合成展開を進めている。新規に同定したHIV-1 CA自壊誘導化合物群における、これまで報告されてきた抗HIV剤に無い特性を多数明らかとしており、本研究計画における達成度は高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) In silico docking simulationおよびin vitro screening assayを継続して行い、同定したhit化合物においては臨床分離株や既存薬剤耐性株に対する抗HIV-1活性および細胞毒性を評価する。また CAの自己崩壊誘導作用の有無を前述の方法で評価する。 (2) 更にMT-4細胞およびHIV-1NL4-3株を用いた試験管内耐性誘導実験を行い、任意のpassageで耐性株のCA領域の塩基配列を調べることによる、hit化合物のCAへの作用(結合)様式の推測を現在進めているが、継続して行う。 (3) その作用機序により完全長CAとCA自壊誘導化合物の共結晶化は困難であるが、一部truncateしたCAを用い、CA自壊誘導化合物-truncated CAとの共結晶構造解析を行う事で、詳細な結合様式の検討を行う。 (4) Magi assay(細胞内entry)、HIV-1 RT Assay、HIV-1 Integrase Assay等を用いる事で、CA自壊誘導化合物がエントリー阻害活性、逆転写阻害活性、インテクレーション阻害活性等、CA阻害活性以外の作用を有しているか確認する。また耐性誘導中にPR, RT, IN等の酵素領域での変異の蓄積がないか評価する。 (5) CA自壊誘導化合物の類似化合物を、複数の学術および商業化合物データベースを用いて検索し、見つかった化合物に関しては購入し抗HIV-1活性、CA自壊誘導活性を評価する。またCA自壊誘導化合物の合成展開を行う事により、更に強力かつ個性的なHIV-1 CA阻害剤の開発を継続して行う。Caco2細胞を用いたin vitro腸管吸収性評価、小動物を用いた薬理動態解析・毒性評価を経て、臨床試験導入を目標とする。
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Causes of Carryover |
本年度始めの地震により研究施設が被災したため、研究(実験等)が進行できない期間があり当初の予定が大幅に遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本研究の遂行のため、試薬および消耗品等の購入に使用する。
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[Journal Article] A Modified P1 Moiety Enhances in vitro Antiviral Activity against Various Multi-Drug-Resistant HIV-1 Variants and in vitro CNS Penetration Properties of a Novel Nonpeptidic Protease Inhibitor, GRL-10413.2016
Author(s)
2.Masayuki Amano, Pedro Salcedo-Gómez, Rui Zhao, Ravikiran Yedidi, Debananda Das, Haydar Bulut, Nicole Delino, Sheri Reddy, Arun Ghosh, and Hiroaki Mitsuya
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Journal Title
Antimicrob Agents Chemother.
Volume: 60
Pages: 7046-7059
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Diastereoselective Synthesis of 6″-(Z)- and 6″-(E)-Fluoro Analogues of Anti-hepatitis B Virus Agent Entecavir and Its Evaluation of the Activity and Toxicity Profile of the Diastereomers.2016
Author(s)
3.Hiroki Kumamoto*, Misato Fukano, Tomohiko Nakano, Keito Iwagami, Chiaki Takeyama, Satoru Kohgo, Shuhei Imoto, Masayuki Amano, Nobuyo Kuwata-Higashi, Manabu Aoki, Hiroshi Abe, Hiroaki Mitsuya, Kiyoshi Fukuhara, and Kazuhiro Haraguchi.
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Journal Title
J Org Chem.
Volume: 81
Pages: 2827-2836
DOI
Peer Reviewed
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