2015 Fiscal Year Research-status Report
A群レンサ球菌性子宮内感染症の病態解明と薬物耐性・分子疫学解析
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15K09578
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 孝 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (00292855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細菌 / 子宮内感染症 / 菌側因子 / 宿主因子 / 薬物耐性 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において以下の研究内容を行い、その知見が得られたので報告する。 1.2012年8月~2013年7月までに全国規模で収集したA群レンサ球菌株とその患者背景に関するデータベースを利用した。夏期において分離した膣分泌物由来87株および咽頭ぬぐい液由来78株をその患者背景と共に同データベースより抽出した。両菌株群が保有する分子疫学的特徴[emm遺伝子型・sequence type (ST)]に関する差異を解析した。その結果、咽頭ぬぐい液由来株における所見と比較して、膣分泌物由来株では分子疫学的特徴となるemm11/ST403クローンの存在やemm1/ST28-ST440クローンの分布を見い出すことができた。本所見は膣分泌物由来A群レンサ球菌株の細菌学的特性を示している。 2.2014年8月~2015年7月までに全国規模で収集したA群レンサ球菌株とその患者背景に関するデータベースを構築した。同様に、夏期において分離した膣分泌物由来66株をその患者背景と共に同データベースより抽出し、その分子疫学的特徴を解析した。その結果、前回のサーベイランスでは認められない新たなクローンとしてemm6/ST382-ST37-ST411やemm82/ST36が観察された。特に、emmクラスター解析においてemm6はsingle protein emm-cluster clade Yに相当することから、膣分泌物由来A群レンサ球菌株における多様性・経時的流動性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国規模で収集した臨床分離A群レンサ球菌株(特に膣分泌物由来株)が保有する病原因子・分子疫学的特徴を経時的に把握することによって、今後展開すべき基礎実験に対して同データを有機的に反映することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
収集できた膣分泌物由来A群レンサ球菌株の中から強毒株および弱毒株を選別して、細胞間透過性に関する実験や動物子宮感染モデルの実験へ用いる。
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Causes of Carryover |
2014年~2015年での全国収集A群レンサ球菌株数が前回・2012年~2013年における同収集菌株数より若干少ないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞間透過性の実験あるいは動物子宮感染モデルの実験へ活用する予定である。
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Remarks |
保健産業事報「ホッとひと息ティータイム」欄において『化膿レンサ球菌による産科婦人科疾患とその研究』(2015年8月1日付け)に関する記事を掲載した。
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Research Products
(4 results)