2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of pathological conditions, pathogenic molecular epidemiology, and antimicrobial resistance in uterine infections due to group A streptococcus
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15K09578
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 孝 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (00292855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細菌 / 子宮内感染症 / 菌側因子 / 宿主因子 / 薬物耐性 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において以下の研究内容を行い、その知見が得られたので報告する。 1.2012年夏季に分離した膣分泌物由来A群レンサ球菌株(n=87)および同咽頭ぬぐい液由来A群レンサ球菌株(n=78)を用いて、テトラサイクリン(TC)耐性遺伝子[tet(M)-tet(O)]およびマクロライド(ML)耐性遺伝子[erm(A)-erm(B)-mef(A)]の保有状況を解析した。その結果、咽頭ぬぐい液由来A群レンサ球菌株と比較して、膣分泌物由来A群レンサ球菌株はTC耐性遺伝子の保有率において有意差があることが判明した。患者年齢を10歳以下または60歳以上に層別化し、TC/ML耐性遺伝子の保有状況を確認した。両年齢層において、膣分泌物由来A群レンサ球菌株はTC/ML耐性遺伝子の保有率が有意に低値であった。本知見は膣分泌物由来A群レンサ球菌株における抗菌薬耐性上の特性を示している。 2.上記膣分泌物由来A群レンサ球菌株において最も分離頻度の高いemm89型(n=33)が保有する細菌学的特性を同咽頭ぬぐい液由来A群レンサ球菌株でのemm89型(n=17)とともに解析した。その結果、膣分泌物由来・咽頭ぬぐい液由来の両群において、emm89型はヒアルロン酸合成遺伝子座を欠損し、NAD-glycohydrolase遺伝子(nga)においてnga promoter variant 3+nga allele 1の塩基配列を有している所見が得られた。このemm89型は新規cladeとして報告されており、emm1型と同様な高度NADase活性を保有することで病原性を惹起することが想定された。 3.子宮内膿瘍・骨盤内腹膜炎由来A群レンサ球菌株におけるemm89型が有する細菌学的特性も同様に検討した。その結果、このemm89型も上記新規cladeであり、侵襲性または劇症型感染症へ係るcladeであることが想定された。
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