2017 Fiscal Year Research-status Report
気道ウイルス感染が喘息発作に及ぼす影響に関する前向きコホート研究
Project/Area Number |
15K09579
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
皿谷 健 杏林大学, 医学部, 講師 (40549185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 博一 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (20391807)
石井 晴之 杏林大学, 医学部, 准教授 (30406970)
倉井 大輔 杏林大学, 医学部, 講師 (60530665)
滝澤 始 杏林大学, 医学部, 教授 (80171578)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウイルス感染 / 気管支喘息発作 / 呼気凝集液 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では喘息発作を生じた106症例(入院49症例、外来57症例)をエントリーした。ウイルス感染単独は39症例、ウイルスと細菌の混合感染は5症例、細菌感染単独は5症例でった。入院患者, 外来患者のうちウイルス陽性はそれぞれ75.3%(N=33), 19.3%(N=11)であり有意に前者で陽性率が高かった。入院患者でのウイルス陽性、陰性群はそれぞれ33症例、17症例であり、両群の比較では有意差はなかったが、前者でPaCO2が高い傾向を示した。両群での入院期間、喘鳴の継続した日数、入院期間、ステロイド治療期間に差を認めなかった。 ウイルス感染は3年間の検討において、human rhinovirus(HRV) (N=24), human-metapneumovirus(hMPV)(N=9), influenza virus(Inf-V)(N=8), respiratory syncytial virus(RSV) (N=3)の順で多くHRVはHRV-A, Cが多かった。重要なことに、hMPVは春に多く、HRVやRSVは秋に、Inf-Vは冬から春に多いことが確認された。3年間を通して喘息発作に関わるウイルス感染の季節性の存在は、本邦ではいまだ報告されていない事象である。 また興味深いことに従来、喘息発作への関与が考えられていたMycoplasma pneumoniaeやChlamydophila pneumophilaは全症例の中で一例も検出されなかった。 本研究は喘息発作にはウイルス感染が最も関与し、中でも感冒に関わるHRVが最も多く、seasonal predilectionが気管支喘息発作に関わるウイルスには存在することを証明した。 HRV, hMPV, RSV, Inf-Vの遺伝子の系統樹解析では各ウイルスで多様性があり、遺伝学的に突出して多いtypeは認めなかった。以上をMedicine (2017) 96:42(e8204)に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分担研究者の所属施設の異動に伴い、一部の呼吸器検体のウイルス感染を検討する作業が遅れている。呼気凝集液のサイトカイン測定とウイルス感染の有無の相関を検討する
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Strategy for Future Research Activity |
喘息発作とMycoplasma pneumoniaeとの関与の有無を多施設での検討を行う。本菌との関与が乏しいことが立証されれば、喘息発作時での不必要な抗菌薬の投与も制限できると考えられる。
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Causes of Carryover |
分担研究者の異動に伴う実験の遅れのため未使用額が生じ、当実験に必要な試薬に充てる予定である
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Research Products
(2 results)