2015 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ罹患後の症候性・無症候性心機能障害の発症頻度とその経過
Project/Area Number |
15K09588
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 隆英 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00319550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
浮村 聡 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50257862)
寺崎 文生 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20236988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 心筋炎 / 心機能障害 / 前向き研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス性心筋(心膜)炎は、ウイルス抗体価などの血清学的な診断がルーチンで行われないケースもあり、その発症率の詳細は不明である。インフルエンザは、本邦では、年間1,000万~2,000万例程度の罹患者があり、また、その診断には迅速診断キットが広く用いられている。本研究の目的は、インフルエンザ罹患後の心電図・心機能をフォローすることで、サブクリニカルなインフルエンザ関連心筋炎の実体を調査することにある。外来受診でインフルエンザ感染症と診断され、本研究の説明への同意が得られた症例を対象として、回復し自宅安静が解除になった症例について、定期的に以下の検討項目をチェック、サブクリニカルな心機能障害の有無、その頻度、臨床経過について解析を行う。1)血液サンプルの解析:血清抗体価、CK、トロポニンなどの心筋障害関連マーカー、BNP、炎症性サイトカインその他の心筋障害関連のバイオマーカーなど2)血清抗体価:インフルエンザ抗体価に加え、他の心筋障害と関連のあるウイルス抗体価(エコー、コクサッキー、アデノウイルスなどの抗体価をペア血清で)3)心電図4)心エコー検査:グローバルな心筋運動障害の検出に加えて、より微細な、局所心筋運動の異常についても、心臓のセグメントごとに組織ドプラなどを用いて経時的に観察する。 また、心不全増悪により循環器内科に受診となり、入院後にインフルエンザ感染が明らかになった症例の検討も行う。心不全の増悪で入院を要する加療が必要となった症例のうち、インフルエンザ感染が明らかになった症例を対象として、次の検討を行う。検討項目および検討のタイミングは外来受診症例に準ずる。1) 血液サンプルの解析、2) 心電図、3) 心エコー検査、4) 造影MRIによる心機能の精査とガドリニウム遅延造影像の検出、5) 心不全の原因がインフルエンザ感染と特定できないケースでは心筋生検を考慮する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年はインフルエンザ感染のオフシーズンであったため症例の登録はない。平成28年1月から3月にかけて、生来健康と考えられる41名のインフルエンザ感染症例(A型35名、B型5名、臨床診断1名)から本研究の説明への同意が得られ、心機能障害についての解析を行った。このうち11名については、心臓に関連した症状はなかったが、自宅安静解除後の心電図、血液サンプル、心エコー検査のいずれかでなんらかの異常所見が認められ、フォローアップの検査(治癒後約1カ月、1.5カ月)を行った。
進捗状況でいえば、1シーズンでのべ40~50名のデータ取得であるから、「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
インフルエンザ感染症例は、生来健康とされていても、一定の割合でサブクリニカルな異常所見がみられる可能性が示唆された。今後、保存冷凍された血清に関しても、必要に応じてウイルス抗体価の測定を行う予定である。
引き続き、平成29年のシーズンにおいても症例の取得に努める予定ではあるが、比較的若年で元来健康な感染者が多いせいか、加えて以前のデータ(特に心電図)がないため、どこまでを、そしてどこを「異常」と判定すべきか、判断に迷うことがある。これまでいったん「異常」と判定した心電図所見や心エコー検査所見についても、多くの視点から繰り返し詳細に検討し、吟味していく必要がある。
また、新しい心エコー検査の解析手法(組織ドプラなど)に関して、測定技術のラーニングカーブの向上を図りつつ、そこから導かれる各所見の意義についても慎重かつ柔軟に解釈する必要があるだろう。
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Causes of Carryover |
インフルエンザ感染が季節性の疾患であることが、今年度の支出額が相対的に少なかった理由のひとつとしてあげられる。つまり、科研費支給の許可が下りた時には、すでに感染シーズン(平成26年11月から同27年3月まで)が終わっており、インフルエンザの感染者からデータ取得ができなかった。平成27年から28年のシーズンについては、当施設でインフルエンザと診断される感染者数がどの程度にまで上るのか、あるいは事務作業にどれほどの手間がかかるのか手探り状態であったため、経費にまで十分手が回らなかった。今シーズンにおいては一定数の感染者が出現し、かれらから高い確率で同意取得がえられ、加えて事務的な流れについてもある程度の手ごたえを感じた。また、平成27年度にはウイルス抗体検査を行っていないことも支出額が足りなかった原因と考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の経験を踏まえ、平成28年度は次の費用に使用する予定である。①前年度シーズン(平成27年11月から同28年3月まで)より多くの感染者からデータを取得すること、②前年度シーズンのものも含め、積極的にウイルス抗体価を測定すること、③学会発表を行うこと、④学会発表や資料作成に向けて、統計解析ソフトの購入を検討すること、などを考えている。
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Research Products
(3 results)