2016 Fiscal Year Research-status Report
MIRAGE症候群の疾患モデル細胞および動物の作成と変異遺伝子の機能解明
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15K09599
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長谷川 奉延 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20189533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 覚志 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌部, 室長 (40365317)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助教 (60263125)
石井 智弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70265867)
天野 直子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70348689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MIRAGE症候群 / 疾患モデルメダカ / 疾患モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は成長障害を主症状の1つとするMIRAGE症候群(以下本症候群)の疾患モデル細胞およびモデル動物を作成し、変異SAMD9の機能をin vitroおよびin vivoで解明することである。平成27年度に本症候群疾患モデル細胞を樹立し、その増殖能は不良であることを示した。 平成28年度、第1に本症候群モデル動物である遺伝子改変メダカを作成中である。すなわちCreリコンビナーゼ非誘導化には赤色蛍光たんぱく質(以下DsRED)のみを発現し、Creリコンビナーゼ誘導下には、DsREDは発現せず、EGFPおよび野生型(あるいは変異型)SAMD9遺伝子を発現するベクターを作成した。DsREDの蛍光観察により、このベクターの導入に成功した受精卵のみを杯の段階で選択することが可能であった。導入に成功した受精卵に対し、Creリコンビナーゼによる発現誘導を行う。 第2に本症候群モデル動物である遺伝子改変マウスを作成中である。すなわち、ROSA26マウスES細胞株での相同組み替えにより、ROSA26遺伝子プロモータの制御下でloxP-終止コドン-loxPの3’側に野生型SAMD9遺伝子を連結したROSA26/Sノックインマウス(以下終止コドン付き野生型SAMD9ノックインマウス)を作製することに成功した。一方、ROSA26遺伝子プロモータの制御下でloxP-終止コドン-loxPの3’側に変異型SAMD9遺伝子を連結したROSA26/Sノックインマウス(以下終止コドン付き変異型SAMD9ノックインマウス)の作成には成功しなかった。現在終止コドン付き野生型SAMD9ノックインマウスに対するゲノム編集により、終止コドン付き変異型SAMD9ノックインマウスの作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に予定していた「変異SAMD9を有する本症候群モデル動物である遺伝子改変メダカの作成」については、当初の実験計画を修正した。昨年Creリコンビナーゼ誘導下に高感度緑色蛍光たんぱく質(以下EGFP)および野生型(あるいは変異型)SAMD9遺伝子を発現するベクターを作成した。しかし、このベクターを受精卵にインジェクションした際には、トランスジェニック個体かどうかの判別がつかない状態でEGFP-SAMD9の発現を誘導せねばならないという問題点を有した。そこで新たにCreリコンビナーゼ非誘導化には赤色蛍光たんぱく質(以下DsRED)のみを発現し、Creリコンビナーゼ誘導下には、DsREDは発現せず、EGFPおよび野生型(あるいは変異型)SAMD9遺伝子を発現するベクターを作成した。全長12kbpという巨大ベクターであり、大きなベクターの形質転換効率に適した大腸菌(NEB10β)を使用した。DsREDの蛍光観察により、このベクターの導入に成功した受精卵のみを杯の段階で選択することが可能であった。現在、導入に成功した受精卵に対しCreリコンビナーゼによる発現誘導を行っている。 第2に「変異SAMD9を有する本症候群モデル動物である遺伝子改変マウスの作成」に着手した。すなわち、ROSA26マウスES細胞株での相同組み替えにより、ROSA26遺伝子プロモータの制御下でloxP-終止コドン-loxPの3’側に野生型SAMD9遺伝子を連結したノックインマウス(以下終止コドン付き野生型SAMD9ノックインマウス)を作出することに成功した。一方、原因は不明であるが、ROSA26遺伝子プロモータの制御下でloxP-終止コドン-loxPの3’側に変異型SAMD9遺伝子を連結したノックインマウス(以下終止コドン付き変異型SAMD9ノックインマウス)の作出には成功しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に遺伝子改変メダカに関しては、F0個体を成魚になるまで飼育後に掛け合わせを行う。F1メダカのゲノムDNAを調べ、野生型SAMD9遺伝子あるいは変異型SAMD9遺伝子の伝達を確認し、成長を含む表現型を解析する。すなわち、体長および体重の計測、光学顕微鏡による形態変化の観察、および蛍光顕微鏡によるSAMD9遺伝子の発現の観察を行う。 第2に上述の終止コドン付き野生型SAMD9ノックインマウスの受精卵に対しCRISPR/CAS9システムによるゲノム編集の技術を用いて終止コドン付き変異型SAMD9ノックインマウスを作成する。 最終的にはCAGプロモーター御下でタモキシフェン誘導型Creリコンビナーゼを発現するCAG/Cre-ERT2トランスジェニックマウスとノックインマウスを交配する。出生後の個体にタモキシフェンを投与し野生型あるいは変異型SAMD9発現マウスを作成し、以下のように2種類のマウスを比較検討する。すなわち、マウスの成長(体長および体重)、MIRAGE症候群の主要罹患臓器と考えられる副腎、性腺に対する縦断的な組織学的解析である。
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[Presentation] MIRAGE Syndrome: A New Form of Syndromic Adrenal Hypoplasia Caused by Activating SAMD9 Mutations.2016
Author(s)
Narumi S, Amano N, Ishii T, Katsumata N, Fukuzawa R, Shimizu A, Shibata S, Okano H, Miyake N, Matsumoto N, Hasegawa T.
Organizer
The Endocrine Society’s 98th Annual Meeting&Expo
Place of Presentation
Boston, USA
Year and Date
2016-04-01 – 2016-04-04
Int'l Joint Research