2015 Fiscal Year Research-status Report
AAVベクターによる低ホスファターゼ血症の遺伝子治療
Project/Area Number |
15K09605
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松本 多絵 日本医科大学, 医学部, 助教 (10366742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 弘一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90267211)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低ホスファターゼ血症 / ALP / 遺伝子治療 / AAVベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
雌雄のAkp2+/-をmatingし、出生したマウスの中からAkp2-/- マウスをDNA抽出して確認した。このAkp2-/- マウスは低ホスファターゼ血症のモデルマウスとして確立されている。生後 3 日までの新生児 Akp2-/- マウスに、すでに静脈内投与で治療効果の確認されたAAV8-TNALP-D10 ベクター(Hum Gene Ther. (2011) 22: 1355)を大腿四頭筋肉内投与した。1x1012 vg/mlの投与で延命するか、血清 ALP値の上昇がどの程度得られるか、骨形成不全の改善が画像で評価できるかを検討課題とした。 まず、筋肉注射により寿命が延長し、最低でも生後2か月まで成育することを確認し、筋肉注射でも延命効果があることを確認した。その際、血中ALP濃度は平均10 IU/mlを超えるまで上昇しており、生後2か月でもWTと比較して約10倍の濃度を維持していた。筋肉注射での延命の成功は、ベクターを全身投与せずに局所投与することでの治療可能性を示した。安全性を担保する上でこれは大きなアドバンテッジである。しかし、治療後2か月では、目視でも体重でも治療マウスはWTより小さかったため、その後catch upするのか、さらに成育期間を延長して長期観察するべく、同じベクターを同量投与したマウスを成育中である。骨に関しては治療後2か月のマウスのサンプル採取を行ったが、解析に至っていない。 平成 28 年度以降は、生後1年を経過した治療マウスについてCTを使用して骨密度を計測する。血清ALP濃度が高濃度で維持されれば、骨も治療できるのか、今後nを増やし、ベクター量を変化させてさらに解析する予定である。 治療効果の得られたマウスの長期的な観察とともに、骨の治癒程度をCTで解析する。さらに、治療マウスをsacrifice する際、ベクター投与による肝機能(血中AST, ALT)、腎機能(BUN、Cre)などの臓器に対する影響がないかを確認するとともに、腫瘍発生がないか全身検索を行い、AAVベクターの安全性を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静脈注射での治療実験が成功したことから、局所注射である筋肉注射での治療の可能性について検討していた。2ヶ月の成獣となるまでモデルマウスが延命したことから、延命という治療は成功したことが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
生後1年を経過した治療マウスについてCTを使用して骨密度を計測する。血清ALP濃度が高濃度で維持されれば、骨も治療できるのか、今後nを増やし、ベクター量を変化させてさらに解析する予定である。 治療効果の得られたマウスの長期的な観察とともに、骨の治癒程度をCTで解析する。さらに、治療マウスをsacrifice する際、ベクター投与による肝機能(血中AST, ALT)、腎機能(BUN、Cre)などの臓器に対する影響がないかを確認するとともに、腫瘍発生がないか全身検索を行い、AAVベクターの安全性を評価する。
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Causes of Carryover |
マウスは自らメイティングしてモデルマウスを作成するが、その際、ヘテロでないマウスが多く生まれるため、それらを手技の練習用のマウス、あるいはコントロールとして使用できた。そのため、マウスを購入する必要がなかった。 また、延命、血清の酵素測定が主な実験となったため、必要な物品が限定された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
延命された治療マウスを解析する際に、CT,病理的な解析が必要になり、その際に必要な物品にまわす。 また、昨年度あまり行えなかった情報収集のために学会、研究会などに積極的に参加する。
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