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2016 Fiscal Year Research-status Report

ミトコンドリア機能障害を標的とするHIBCH欠損症の治療戦略

Research Project

Project/Area Number 15K09610
Research InstitutionInstitute for Developmental Research, Aichi Human Service Center

Principal Investigator

山田 憲一郎  愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 主任研究員 (30291173)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
KeywordsHIBCH欠損症 / ミトコンドリア / バリン代謝
Outline of Annual Research Achievements

HIBCH欠損症では、バリン代謝が亢進するとミトコンドリアにバリン代謝の中間産物であるmethacrylyl-CoAが蓄積し、これがチオール(SH)化合物やミトコンドリアの電子伝達系のタンパク質のSH基と結合することで、ミトコンドリアのATP産生機能に障害が生じる。本研究では、methacrylyl-CoAがSH基と結合するという化学的性質に注目し、ミトコンドリアで減少するSH化合物を増加させる化合物と脳神経のエネルギー産生を亢進させる化合物に関する研究を行い、本欠損症の治療法の開発を目指す。
今年度は、治療効果を評価するためのHIBCH欠損症モデルの構築を目指した。1)山形大学遺伝子実験センターに委託し、Hibch exon4に微細欠失を持つ機能喪失型変異マウスを作製した。2)患者リンパ芽球をアミノ酸、脂肪酸を含まない飢餓培地で培養すると、健常人のリンパ芽球に比較して生細胞数の減少が速いことを明らかにした。3)健常人のリンパ芽球では、上記の飢餓培地にバリンを加えて培養すると生細胞数の減少を抑制したが、患者リンパ芽球では抑制できなかった。4)グルコースの含有量を減らした低グルコース培地を用いて健常人のリンパ芽球を培養すると、正常培地での培養と同様に増殖するが、患者リンパ芽球では増殖が見られず、3日程度で生存率が低下した。5)患者では、発熱時に症状が悪化することから、高温条件下でリンパ芽球を培養したが、患者と健常人では、差は見られなかった。2-4の結果より、患者リンパ芽球では、エネルギー(ATP)産生が主に解糖系に依存しており、ミトコンドリアの機能低下が強く示唆された。上記の飢餓培地や低グルコース培地を用いた培養系は、薬剤の治療効果を評価するための実験系として用いることができると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

治療効果を評価するためのHIBCH欠損症モデルの構築
1)山形大学遺伝子実験センターに委託し、Hibch exon4に2, 8, 14bpの欠失を持つ3種類の機能喪失型変異マウスを作製した。ヘテロ接合性変異マウスは、顕著な異常は認められていない。患者と同じホモ接合性変異マウスの仔獣を得るため、ヘテロ接合性変異マウスの雄雌の交配を行っている。現在までに、6腹より約30匹の仔獣を得たが、ホモ接合性変異マウスは得られていない。
2)患者リンパ芽球をアミノ酸、脂肪酸を含まない飢餓培地や、グルコースの含有量を減らした低グルコース培地を用いて培養を行ったところ、患者リンパ芽球では、健常人のリンパ芽球に比較して生細胞数の低下が速いことが明らかとなった。すなわち、患者リンパ芽球では、エネルギー(ATP)産生が主に解糖系に依存しており、ミトコンドリアの機能低下が強く示唆された。
3)患者と健常人のリンパ芽球を通常培地、高温(40℃)条件下で培養を行った。両細胞とも経時的に生存率が低下した。しかし生存率の低下に顕著な差は認められず、高温(40℃)条件は、治療効果の評価には適さないことが明らかとなった。
4)予備実験として、患者リンパ芽球を上記の低グルコース培地に、細胞内のSH化合物を増加させるN-アセチルシステイン(NAC)を加えて培養したところ、NAC濃度依存的に生存率の回復が見られた。

Strategy for Future Research Activity

治療効果を評価するためにHIBCH欠損症モデルを用いてNAC等の薬剤の評価を行う。
1)患者由来のリンパ芽球では、ミトコンドリアの機能低下が強く示唆されたので、細胞内のGSH量、ミトコンドリア膜電位、ATP含有量、電子伝達系酵素の活性などの指標を解析し、通常培養条件下でのミトコンドリア機能障害を検出する。2)患者リンパ芽球を、上記の低グルコース培地に、細胞内のSH化合物を増加させるN-アセチルシステイン(NAC)を加えて培養し、生存率の回復を指標にNACの治療効果の評価を行う。3)2)で回復が見られた場合、1)のミトコンドリア機能障害が改善するかを測定し、NACの治療効果の確定を行う。4)2)と同様に酸化ストレスを軽減するアスコルビン酸、電子伝達系の酵素を活性化するアミノレブリン酸などの治療効果の評価を行う。5)患者と同じホモ接合性変異マウスの仔獣を得ることが目的のため、ヘテロ接合性変異マウスを用いて雄雌の交配を行っていが、ホモ接合性変異マウスは得られていない。すなわち、ホモ接合性変異マウスは胎生致死である可能性が考えられる。そこで、様々な時期の胎児を解析し、ホモ接合性変異マウスの表現型(胎生期の形態異常など)を明らかにする。6)5)の解析で、ホモ接合性変異マウス胎児の表現型が明らかとなった場合、妊娠マウスに上記2)、4)の実験で効果の見られた薬剤を投与し、ホモ接合性変異マウス胎児の表現型の改善が見られるかを解析する。

Causes of Carryover

今年度は実験助手の雇用を行うことがなかったので、人件費・謝金が使用されなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

物品費として、1)Hibch欠損マウスの飼育の費用、2)リンパ芽球などの培養をするための費用、3)細胞染色や活性測定に必要な試薬や器具の購入費、人件費として、実験を補佐する研究補助者の人件費、旅費として、研究成果を学会や紙面で発表するための費用を予定している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Novel mutation in HPRT1 causing a splicing error with multiple variations.2017

    • Author(s)
      Baba S, Saito T, Yamada Y, Takeshita E, Nomura N, Yamada K, Wakamatsu N, Sasaki M.
    • Journal Title

      Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids.

      Volume: 36 Pages: 1-6

    • DOI

      10.1080/15257770.2016.1163381.

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2018-01-16  

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