2015 Fiscal Year Research-status Report
福山型筋ジストロフィーの臨床評価法の確立と核酸治療の適応拡大を目指した包括的研究
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15K09621
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
池田 真理子 (谷口) 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00410738)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 福山型筋ジストロフィー / アンチセンス核酸 / スプライシング異常 / 分子標的治療 / バイオマーカー / ドラッグデリバリー / フクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は、福山により報告・確立された先天性筋ジストロフィーの一型であり、重度の筋ジストロフィーに脳奇形を伴う常染色体劣性遺伝性神経筋疾患である.申請者はFCMDがスプライシング異常症により発症することを見出し、異常スプライシングを是正するアンチセンス核酸を用いた骨格筋に対する根治療法の可能性を以前報告した.本研究は①臨床試験を成功させるための臨床検査評価法の確立を目指す臨床研究及び②骨格筋だけでなく、罹患組織である脳・胎生期の形成異常に対する胎児治療を含めた核酸治療法の適応拡大を目的とし、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、応用的治療法を用いた包括的治療法の確立を目指す。 1. 臨床治験を成功させるための臨床検査評価法の確立を目指す臨床研究:運動機能評価・画像評価・血液由来のバイオマーカーの検索をおこない臨床症状との相関を検討し治療研究における指標とする. 2. 骨格筋以外の罹患組織である脳・胎生期の形成異常に対する、核酸治療法の適応拡大をめざした基礎的研究:核酸治療の対象となる挿入型変異を有するモデルマウスを用いて、マウスの核酸による脳内治療・髄腔内治療・鼻腔内投与・高密度焦点式超音波治療法とマイクロバブルを併用した脳内治療を行う.同時に脳内治療の評価系構築のための実験動物の行動解析(高次機能障害に対する分析)・発現解析・神経線維の発現解析及び機能解析を行う.また妊娠マウスに核酸を投与し胎児マウスへの核酸治療効果を評価し、胎児治療や中枢治療に関する基礎実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 臨床治験を成功させるための臨床検査評価法の確立を目指す臨床研究:運動機能評価・画像評価・血液由来のバイオマーカーの検索①②運動機能評価(後ろ向き):に関しては、現在約40名の患者についての前向き、後ろ向きデータの収集中である。運動機能評価や患者の臨床症状の評価から、新たに福山型で多く抱える身体的、あるいは生活上のさまざまな問題も明らかになってきており、今後の臨床機能評価項目としてこれらのものも追加してゆくか検討中である。画像解析や筋量測定と合わせ、最終年度でバイオマーカー探索研究と複合し総合的に評価するため、現在データを収集中である。運動機能評価②画像評価による筋・脂肪量の評価系の構築に関しても①、②同様順調にデータの蓄積ができている。 ④病状を反映するバイオマーカーの探索:これに関しても現在順調にデータの収集を行っており、サブクラス解析を近日中に予定している。 2. 骨格筋以外の罹患組織である脳・胎生期の形成異常に対する、核酸治療法の適応拡大をめざした基礎的研究 中枢治療、胎児治療に関する基礎的実験では、前者においては、さまざまな条件を検討中であるが、核酸の胎児投与は現在のところデリバリーを到達できていない。投与時期や投与量、投与方法2月検討中である。中枢内投与に関しては一定の見解が得られており、近日中に論文を投稿予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 臨床治験を成功させるための臨床検査評価法の確立を目指す臨床研究:運動機能評価・画像評価・血液由来のバイオマーカーの検索を患者・対照ボランティアの同意のもと実施し、臨床症状との相関を検討し治療研究における指標とする. 単回でのデータ収集においても年齢、運動機能、遺伝子型でのバイオマーカーとの相関がみられており、学会、論文にて順次公表を予定している。特に病状を反映するバイオマーカーの探索では有意に上昇あるいは下降しているバイオマーカーが得られており、学会及び論文での公表を順次行う。本年度はそれらを継続しながら、前向き、後ろ向き研究を継続してゆく。 2.脳・胎生期の形成異常に対する核酸治療法の適応拡大をめざした基礎研究 ①FCMDモデルマウスの高次脳機能障害の検討:モデルマウスの解析以外にも、細胞系をもちいた実験も追加、検討を予定している。②FCMDモデルマウスに対する脳内のアンチセンス治療:モデルマウスの改良や、投与方法や薬剤のデリバリーも含め本年度に検討し、順次公開を予定している。③高密度焦点式超音波治療法(HIFU)とマイクロバブルを併用した脳内治療・胎児治療:脳内に関しては一定の見解が得られているため近日中に論文投稿を目指す。胎児治療については引き続き検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた人件費が不要になったことが理由である。今後データ解析などに人員が必要であり、雇用を本年度に考えている。また物品に関しても臨床検査が中心であり、また核酸についても共同研究であり核酸試薬の実費代金が大幅に減額となったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に関してはデータ解析のための人員雇用、中枢治療のためのマウス維持費、論文執筆のための校正費用や投稿料などが必要でありその代金として合算して使用する予定としている。
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[Journal Article] Next generation sequencing discloses a nonsense mutation in the dystrophin gene from long preserved dried umbilical cord and low-level somatic mosaicism in the proband mother..2016
Author(s)
Taniguchi-Ikeda M, Takeshima Y, Lee T, Nishiyama M, Awano H, Yagi M, Unzaki A, Nozu K, Nishio H, Matsuo M, Kurahashi H, Toda T, Morioka I, and Iijima K.
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Journal Title
Journal of Human Genetics
Volume: 61
Pages: 351-355
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] A novel PIGN mutation and prenatal diagnosis of inherited glycosylphosphatidylinositol deficiency.2015
Author(s)
Nakagawa T, Taniguchi-Ikeda M, Murakami Y, Nakamura S, Motooka D, Emoto T, Satake W, Nishiyama M, Toyoshima D, Morisada N, Takada S, Tairaku S, Okamoto N, Morioka I, Kurahashi H, Toda T, Kinoshita T, Iijima K.
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Journal Title
American Journal of Medical Genetics PartA
Volume: 170
Pages: 183-188
DOI
Acknowledgement Compliant
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