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2016 Fiscal Year Research-status Report

糖尿病予測およびiPS細胞移植基盤の確立

Research Project

Project/Area Number 15K09625
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

松本 志郎  熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (70467992)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords糖尿病 / iPS細胞 / β細胞 / 再生医療 / 細胞内代謝機能 / メタボローム解析
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、①増加傾向にある1型および2型糖尿病の早期予測法の開発、②既に糖尿病になっている患者の中でも重度の症状を呈する重症糖尿病(1型糖尿病および2型療法を含む)への再生医療を応用した細胞移植治療法の基盤の確立、の2つを主たる目的として実施されるものである。H27年度(初年度)は、①iPS細胞の樹立、②糖尿病モデルマウスおよび③小児生活習慣病(2型糖尿病予備軍並びに2型糖尿病小児群)を用いた発症を予測できるバイオマーカーの解析を行ったが、H28年度は昨年に引き続き小児糖尿病(1型および2型)患者5名(1型3名、2型2名)から樹立したiPS細胞を用いてβ細胞への誘導を行い、細胞機能解析を行った。具体的には、疾患由来iPS細胞から誘導したβ細胞と正常β細胞(正常iPS細胞由来β細胞:タカラバイオ社製)を用いてメタボローム解析を行った。その結果、1型糖尿病患者においては、ある種の特徴的な代謝が阻害されており(未発表データのため非公開)、一方で2型糖尿病患者では逆にこの特異的代謝が促進されていることがわかった。In vitroにおける、これらの結果は、1型糖尿病患者においては単に自己免疫性の細胞破壊だけではなく、細胞自体にも何らかの細胞内代謝機能異常が起こっていることを示唆した。また、正常iPS細胞由来β細胞を用いて糖尿病マウス(AKITAマウス)への細胞移植を行い、ある程度の血糖上昇抑制効果が得られることがわかった。更に、昨年度にマウスで見出したバイオマーカーについて、発症初期の患者においても変動が見出された。これらの結果は、1)糖尿病の予防医学への貢献、2)膵再生医療への技術移転、3)iPS細胞を用いた細胞移植治療への貢献、が期待される結果となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

・患者由来iPS細胞の樹立について:児糖尿病1型(3名)および2型(2名)からiPS細胞を樹立した(H27年度中に達成)。
・β細胞の誘導法について:iPS細胞由来β細胞については、市販のβ細胞を比較検討し、タカラバイオ社製のiPS細胞由来β細胞が最も分化レベルが成熟し、かつ均一な細胞であることがわかったことから、タカラバイオ社の協力をえて、これらをコントロール細胞とした。誘導法についても、これらを比較検討材料として、改善した(H27-H28年度)。
・移植モデル法の確立について:糖尿病モデルマウスとしてAKITAマウス(C57BL/6-Ins2 AKITA/J)を用いたバックグラウンドデータをH27年度までに揃えた。H28年度は、新たにタカラバイオ社製の正常iPS細胞由来β細胞を用いて、腎被膜下への細胞移植実験を行った。その結果、移植後に血糖を50%程度軽減することがわかった。一方で、腎被膜下の移植では、糖負荷への反応が弱く、門脈内移植では良好な反応を示すことが明らかとなった。
・マウスで見出されたバイオマーカーが、ヒトでも同様に指標となる可能性があることがわかった。
・iPS細胞を用いたメタボローム解析から、新たに病気の原因となる細胞内の機能異常の可能性が示唆されるデータを得た。この結果は、創薬のターゲットとなる可能性があり、更に病気の根本的な問題点を解決できる可能性がある。

Strategy for Future Research Activity

①当初の目標をほぼ達成しているため、最終年度は論文を作成して発表を行う。
②新たに得られた結果については、再現性が確認されれば特許出願を大学と連携して進める。
③引き続き、バイオマーカーについては、小児生活習慣病患者においてprospectiveに観察を行う。
④メタボローム解析で新たに得られた代謝障害について、その異常を回復させる方法いついても模索する。

Causes of Carryover

当初、5症例からのiPS細胞樹立を行うために予算計画を提出したが、初年度にすべての症例の確保ができたため、iPS細胞の樹立のための予算が初年度のみで達成された。また、当該年度の実施状況報告書に記載した通り、タカラバイオ社の正常iPS細胞由来β細胞ならびに誘導方法を用いる方法が優れていることから、これらを用いた移植を行う方針へ微修正した。この微修正により、当該年度末に購入した場合でも、その細胞の使用は年度を超えて使用されることとなるため、これらの細胞購入ならびに細胞用試薬(キット品)の購入費用を4月以降として、移植実験も4月以降として、現在(H29年度5月1日現在)、実施中である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

タカラバイオ社製のコントロール細胞(線維芽細胞、iPS細胞由来β細胞)の購入ならびに培養用キットに全額使用予定(4月中に発注済、購入5月中旬予定)。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Plasma exchange and chelator therapy rescues acute liver failure in Wilson disease without liver transplantation.2017

    • Author(s)
      Kido J, Matsumoto S, Momosaki K, Sakamoto R, Mitsubuchi H, Inomata Y, Endo F, Nakamura K.
    • Journal Title

      Hepatol. Res.

      Volume: 47(4) Pages: 359-363

    • DOI

      10.1111/hepr.12711

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2018-01-16  

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