2016 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント分子を標的とするキメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞の新規開発
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15K09641
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
今村 勝 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80464006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 千速 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90419284)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント分子 / キメラ抗原受容体 / 免疫細胞療法 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、免疫チェックポイントに関わるリガンドに対するレセプターを用いて新規キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor: CAR)遺伝子導入T細胞を作製し、難治性造血器・固形腫瘍に対する新しい治療法への臨床応用に展開するための基盤となる研究を行うものである。 CAR-T細胞は細胞外ドメイン、ヒンジ、細胞内ドメインのそれぞれの組み合わせにより抗腫瘍効果が異なる可能性があるため、平成28年度は前年度に作成済みのコンストラクトを更に改良し、複数のPD-1 CAR遺伝子のコンストラクトを作成し、機能解析を行った。レトロウイルスベクターを用いてT細胞性白血病細胞株であるJurkat細胞へ遺伝子導入を行い、フローサイトメトリー法でPD1蛋白の発現を確認した。十分な発現強度が得られたものは標的細胞と共培養し、活性化マーカーであるCD69が陽性化したものは機能し得るCARと判断した。上記の実験結果から3種類のCAR(PD1-CD3ζ、PD1-CD28TM、PD1-CD28TM-intracellular- CD3ζ)をヒトT細胞へ遺伝子導入した。複数の腫瘍細胞株におけるPDL1の発現を調べ、PDL1を恒常的に発現している骨肉腫細胞株(SaOS2)、成人T細胞白血病細胞株(MT1)及びPDL1を強制発現させた慢性骨髄性白血病細胞株(PDL1-K562)を標的細胞とした細胞障害活性解析ではSaOS2及びPDL1-K562に対し抗腫瘍効果の増強を認めた。4時間標的細胞と共培養する短時間での抗腫瘍効果よりも24時間以上での検討の方が抗腫瘍効果の増強を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①抗PD-L1/L2キメラ抗原受容体遺伝子の作製、②新規CAR遺伝子導入T細胞の作製及び腫瘍細胞に対する機能解析、③抗PD-1抗体による新規CAR-T細胞の機能抑制の評価、④免疫不全マウスを用いた新規CAR-T細胞のin vivoでの抗腫瘍効果の検討、⑤小児腫瘍におけるPD-L1/PD-L2の発現及び新規CAR-T細胞による抗腫瘍効果の検討を順に行っていく予定である。現在までに①、②、⑤が進んでいる。概ね順調に進んでいるが、①、②については多数のコンストラクトを比較検討したため時間を要した。⑤については標的細胞の候補を調べるために種々の腫瘍細胞株についてPDL1の発現を調べたが、恒常的に強発現している細胞株が少なく時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
PDL1/L2に対する新規CAR-T細胞を作製し、その抗腫瘍効果を示すことができた。しかしその効果は十分とは言えず、引き続き異なるコントラストのCAR遺伝子を作製し、その機能について比較検討する。今回の実験では、従来のCAR-Tに比べPD1-CAR-Tでは抗腫瘍効果発現までに時間を要している印象があり、経時的な抗腫瘍効果の発現についても検討していく。また、抗PD1抗体によりPD1-CAR-Tの機能を抑制することができるかについても検討する。
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Causes of Carryover |
多数のコンストラクト作成や標的細胞の候補を決める過程で時間を要し、費用を要する中和抗体を用いた実験検討等が行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの実験結果をまとめ、全国学会等での発表、論文の投稿への費用に用いる。
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